胸の痛みを感じながらも、亜嵐と一緒に六越の中を回って歩く。
七階にあるパティスリーに入り、俺は季節のいちごパフェ、亜嵐はマンゴーがたくさんのっているカレーを頼んだ。
「……相変わらず変なセンスのメニュー頼むな」
俺が若干引き気味で告げると、亜嵐は大口でマンゴーを口に入れてもぐもぐとハムスターのように頬を動かす。
「お前も大概だろ。んん……もぐ……甘いのが、辛いのにのってるのが……もぐもぐ……クセになるんだよな~」
「はいはい、いいから黙って食え」
絶交した友人同士とは思えないほど、以前と変わらないテンションで会話が繰り広げられていく。
ほんの少し、心の傷が癒えたような気がした。亜嵐に感謝だ。
(どうしてなんだろう。この前表参道で食べたフラッペよりも高級なパフェなはずなのに)
でも、生クリームをすくって口の中に入れてもただ甘ったるさが広がるだけで、美味しくはない。
そういえば俺、甘いのあんまり得意じゃなかった。
先輩と一緒だったら、なんでも美味しく感じるんだな。
「あー、そういえばさ。この前、瑞稀と原宿にいた先輩、今アイドルになるテレビ出てるよね?」
亜嵐がカレーを口に運びながら、急に先輩の話を振ってくる。
芸能にも疎い亜嵐が知っているくらい、オーディション番組『プロデュース111』は、知名度が高いんだなと感心する。
「うん、そうだよ。先輩はめちゃくちゃダンスも上手だし、妹さんの勧めもあって頑張ってるよ」
あまり亜嵐には深く話したくない内容だ。ついこの前まで、俺のことを想ってくれていたわけだし……。
控えめに伝えたつもりだったけれど、亜嵐の表情はどこか優れない様子だった。
「めっちゃ仲いいね。そんなことも知ってて……もしかして今日待ち合わせてる友達も、その〝先輩〟?」
少しだけ亜嵐の聞き方に棘があるような気がして、一瞬口を噤む。
けれど、変に動揺している方が、勘に触るかもしれないと思い直し、俺は口角を上げた。
「うん、そうだよ。……でも、オーディションでめちゃくちゃ忙しそうだし、今日はダメかもね」
そう言うと、少しだけ心が軽くなる気がした。
でも、亜嵐の言葉は容赦なかった。
「っつっても、さすがに連絡ぐらいできるっしょ。お前、雑に扱われすぎてない?」

