言葉を失う俺を見て、亜嵐はふっと微笑む。
「あは、お前、なんでこんなとこいんの?」
亜嵐はハットをかぶって、昔から好きそうなゆるいシルエットの洋服を着て立っている。
SNSはブロックされたままだったし、もう二度と会うことはないと思っていた。
でも、三カ月前にあの公園で会ったときの尖った様子とは打って変わり、今は穏やかな雰囲気だ。
「……それはこっちのセリフだよ。俺は人を待ってて……亜嵐は?」
「俺は友達にドタキャンされて、銀ブラ中~。この辺にアクアリウムあるから行こうかなって」
「あ。あるよ。この上に、よさげなアクアリウム」
六越に指をさして作り笑いを浮かべると、ふんっと笑い飛ばされてしまう。
「そんなに気まずい? 俺としゃべるの」
「そ、そりゃそうでしょ。あんなことがあったんだから」
「まぁね。でも俺はもう、お前のことなんとも思ってないよ。だから気にすんな」
さらりと言いのけた亜嵐に、拍子抜けする。
あの時はお互いにギリギリの精神状態で、俺のせいで終わり方は綺麗じゃなかった。
だから亜嵐にそう言ってもらえるなんて夢にも思わなかった。
「お前、こんなとこにいたら絶対に風邪引くぞ。俺暇だから、友達来るまで付き合えよ」
「えっ!? ちょっ……」
亜嵐は突然、俺の腕をグイッと掴んで館内に入っていく。
暖房が効いていて、やわらかい熱風が凍えていた体を優しく包んでくれる。
亜嵐はぐいぐいと引っ張り、無理やり俺をエスカレーターに乗せようとした。
「この七階に、いい感じのカフェがあるからはなそ」
「ちょ、待てって……!」
無理矢理、亜嵐の手を振りほどき、エスカレーターから距離をとる。
(一応先輩と約束してるし。今、亜嵐といるの、ちょっと申し訳ない)
罪悪感を感じながらスマホを確認してみるけど、やっぱり何もメッセージはきていない。
もう約束の時間から一時間十五分が経過している。
それでも何も連絡がないというのは、〝諦めろ〟と言われているようなものだ。
「連絡来てないんでしょ? いいじゃんなら」
亜嵐は追い打ちをかけるように俺に告げる。
「それに来たら俺は退散するから、それまで積もる話をしようよ。瑞稀」
亜嵐は昔のような明るい笑みで俺を見る。
もう俺のことなんとも思ってないとは言っているし、様子を見るに普通の友達のように接してくれていて平気そうだ。
仲をこじらせた原因は完全に俺にあるし、少しくらい亜嵐の要望も聞かなきゃいけない気がしてきた。
「わかった。友達が来るまででよかったら」
「うん、全然いいよ。それで。いこ!」
何も反応がないスマホを思わずぎゅっと握り、俺は亜嵐のあとをついていく。
(先輩、もう会えないのかな……まだ、待ってるんだけどな、俺)
「あは、お前、なんでこんなとこいんの?」
亜嵐はハットをかぶって、昔から好きそうなゆるいシルエットの洋服を着て立っている。
SNSはブロックされたままだったし、もう二度と会うことはないと思っていた。
でも、三カ月前にあの公園で会ったときの尖った様子とは打って変わり、今は穏やかな雰囲気だ。
「……それはこっちのセリフだよ。俺は人を待ってて……亜嵐は?」
「俺は友達にドタキャンされて、銀ブラ中~。この辺にアクアリウムあるから行こうかなって」
「あ。あるよ。この上に、よさげなアクアリウム」
六越に指をさして作り笑いを浮かべると、ふんっと笑い飛ばされてしまう。
「そんなに気まずい? 俺としゃべるの」
「そ、そりゃそうでしょ。あんなことがあったんだから」
「まぁね。でも俺はもう、お前のことなんとも思ってないよ。だから気にすんな」
さらりと言いのけた亜嵐に、拍子抜けする。
あの時はお互いにギリギリの精神状態で、俺のせいで終わり方は綺麗じゃなかった。
だから亜嵐にそう言ってもらえるなんて夢にも思わなかった。
「お前、こんなとこにいたら絶対に風邪引くぞ。俺暇だから、友達来るまで付き合えよ」
「えっ!? ちょっ……」
亜嵐は突然、俺の腕をグイッと掴んで館内に入っていく。
暖房が効いていて、やわらかい熱風が凍えていた体を優しく包んでくれる。
亜嵐はぐいぐいと引っ張り、無理やり俺をエスカレーターに乗せようとした。
「この七階に、いい感じのカフェがあるからはなそ」
「ちょ、待てって……!」
無理矢理、亜嵐の手を振りほどき、エスカレーターから距離をとる。
(一応先輩と約束してるし。今、亜嵐といるの、ちょっと申し訳ない)
罪悪感を感じながらスマホを確認してみるけど、やっぱり何もメッセージはきていない。
もう約束の時間から一時間十五分が経過している。
それでも何も連絡がないというのは、〝諦めろ〟と言われているようなものだ。
「連絡来てないんでしょ? いいじゃんなら」
亜嵐は追い打ちをかけるように俺に告げる。
「それに来たら俺は退散するから、それまで積もる話をしようよ。瑞稀」
亜嵐は昔のような明るい笑みで俺を見る。
もう俺のことなんとも思ってないとは言っているし、様子を見るに普通の友達のように接してくれていて平気そうだ。
仲をこじらせた原因は完全に俺にあるし、少しくらい亜嵐の要望も聞かなきゃいけない気がしてきた。
「わかった。友達が来るまででよかったら」
「うん、全然いいよ。それで。いこ!」
何も反応がないスマホを思わずぎゅっと握り、俺は亜嵐のあとをついていく。
(先輩、もう会えないのかな……まだ、待ってるんだけどな、俺)

