バーンアウトの先の恋。

 応援団になってしまったショックで、その後どうやって六限の授業を乗り切ったか、正直あんまり覚えていない。
 昼休み、北野と沢っちが俺の好物の購買のあんパンを持ってきてくれて、全力で慰めてくれた。
 でも、「代わってほしい」って言ったら、ふたりは黙り込んでしまって、終始お通夜みたいな空気だった。しかも今日は……。

 「音羽、今日から練習始まるって聞いてる?」

 六限のホームルーム前に声をかけてきたのは、クラスの学級委員長の櫻井大吾(さくらいだいご)
 うちのクラスでは、俺と櫻井の二人が応援団に選ばれたらしい。
 櫻井はバスケ部で筋肉質、俺と身長は変わらない。
 少し幼い顔立ちに凛々しさも混じっていて、これまで責任を追う仕事を自ら引き受けてきたって感じがする。

 「ボクハシリマセン」

 とぼけてみたけど、櫻井は察したらしい。同情気味にポンッと肩を叩いてきた。

 「林田先生、マイペースなのはいいけど、当日になってから告げるなんてひどいよな。まあ、とにかく一緒に生物室まで行こう」

 ホームルームが終わり、俺はスクールバッグと体操着を手に廊下で待つ櫻井と歩き出す。
 プリントには体育祭の応援団顔合わせは、旧館のほとんど使われていない生物室で行われると書いてあった。

 「それにしても、七海先輩も応援団にいるなんてビックリだよな」

 「さっき沢っちも言ってたけど、七海先輩って有名なの?」

 無邪気に聞く俺に、櫻井は信じられないと言わんばかりに足を止めた。

 「え、お前七海先輩知らないとかガチ? 学校のアイドルやん。最近学校に来てなかったから、辞めたと思ってたけど、そうでもないみたい」

 「へぇ……」

 その時、ピンときた。今朝見たあのとんでもない金髪のイケメンが、もしかして七海先輩じゃないかって。
 服装も雰囲気も、いい意味でも悪い意味でも普通じゃなかったし。

 「あっ、ねぇねぇ! 君たちも応援団?」