きっと、叔母さんが死んじゃってまだ信じられないのは玲音も同じなのだろう。


だから変わらず玄関に叔母さんの靴が並べてあったり、化粧品が片付けられていなかったりしているんだ。



まだ帰ってくると信じる気持ちが残っているから…。



「…親父がああなってから俺がしっかりしなきゃって思って、悲しんでいる暇なんてなかった。本当はすごいしんどいのに誰も気づいてくれなくて、押しつぶされそうで…ずっと苦しかった」


「…うん。ごめんね、気づいてあげられなくて」



玲音はいつも私を気にかけてくれて、どんなに小さな異変でも見逃さず寄り添ってくれていたのに、私は何も気づいていなかった。


元の世界の玲音は毎日をどんな思いで過ごしていたんだろう。


どうして私はそんな玲音の元に行ってあげられなかったんだろう。



「明日香に話したおかげで、随分楽になったよ。ありがとな」


「そんなことないよ。…でも玲音が救われるなら、これからはもっと私のことも頼って。玲音にはいつもお世話になってるから、ちゃんと返したい」