自分のことでいっぱいでうっかり忘れてしまっていた。


この時期は、玲音のお父さんの精神状態が悪化して大変な時だった。



学校に来なくなったほど玲音は大変だったのに、後から知った私は何もしてあげられなかった。


前の世界でも、この世界でも、いつだって玲音は私の隣にいてくれてたのに。





「明日香ー。帰ろうー」


「ごめん、今日玲音の家寄るから、先帰るね」


「そっか。心配だもんね」



花音にごめんともう一度謝ってから、久しぶりに玲音の家を尋ねる。


インターホンを押すと、しばらくしてから玲音が玄関の扉を開けて出てきた。



「…明日香?」