「え、なんだろ。はーい」



呼ばれた花音が廊下に行ってしまい、櫻井くんと二人取り残される。



「さっきから入口気にしてたのって、花音待ってたからなんだね」


「…え?」


「あれ、違った?誰かが登校してくる度入口見てたから、誰かが来るの待ってるのかなって思ってたんだけど」



櫻井くんの言う通り、花音に挨拶をしたかったからもそうだし、あと…。



「爽也。英語のノート貸してー。和訳すんの忘れてた」



登校してきた汐江くんと目が合い、どくっと心臓が小さく跳ねる。



「…あの。汐江くん、おはよう」



今までだったら迷わず無視していたけど、もう人と関わりたくないわけではないから勇気を出して汐江くんに挨拶をしてみる。