教室に行く前に、振り返ってお礼を言うと、汐江くんは笑顔で手を振ってくれた。
*
「…柏木さん」
教室には日誌を書いている柏木さんだけしか残っていなかった。
顔を上げた柏木さんは驚いたように目を丸くして、こちらに駆け寄ってきてくれた。
「どうしたの、如月さん?」
「あ…えっと…」
覚悟を決めてきたはずなのに、いざ柏木さんを目の前にするとうまく言葉が出てこなかった。
「ゆっくりでいいよ」
何かを察したのか、私の震える手をそっと取ってくれた柏木さんが、にこっと優しく微笑んだ。
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「…柏木さん」
教室には日誌を書いている柏木さんだけしか残っていなかった。
顔を上げた柏木さんは驚いたように目を丸くして、こちらに駆け寄ってきてくれた。
「どうしたの、如月さん?」
「あ…えっと…」
覚悟を決めてきたはずなのに、いざ柏木さんを目の前にするとうまく言葉が出てこなかった。
「ゆっくりでいいよ」
何かを察したのか、私の震える手をそっと取ってくれた柏木さんが、にこっと優しく微笑んだ。



