「あ、ねえねえ。たしかあなた、朝陽くんと同じクラスの子だよね?朝陽くんどこ行ったか知らない?」


「…知らない」



汐江くんとは空き教室の掃除をみんなでしてから、まだ一度も話していない。



席替えをして席が離れたこともあるし、そもそも住む世界の違う人だから。


女子とばかりいる汐江くんなんか、私も話したくないし。


ツインテールの女子にぺこりと会釈をして足早にその場を離れる。


…どうしてだろう。どうしてこんなにイライラするの。



「うわっ、びっくりした…」



よく前を見ていなかったから、角を曲がってきた男子とぶつかりそうになる。


…しかもそれは、汐江くんだった。