夜が明けたら君に幸せを。

たった一人、いとこだったから元から仲の良かった隣のクラスの玲音だけが私を気にしてくれて、毎日保健室に通ってくれたり、一緒に帰ったり、連絡を来れたから玲音にだけはもう一度心を開くことができた。


私を心配して高校まで同じにしてくれた玲音だけを信じて、これからも生きていくんだとそう思っていた。



今更他の人のことを信じてみるなんて、私にはできない。



「…っ」



答えは出ているのに、なぜか口が縫い付けられたかのように言葉が出てこなかった。


どうしたんだろう、私。


“無理”だって今まで通り一言言えばいいだけなのに。



柏木さんとは友達になれないって、その言葉がどうしても出てこなかった。



「そろそろ下校時刻だし、帰ろっか」



汐江くんのその一言で、結局柏木さんに答えは出せないままだった。