夜が明けたら君に幸せを。

「途中までは、すごく楽しかった。悠真くんと二人きりで帰るなんて初めてだったし、緊張したけど、それも全部楽しかった。幸せだなって思った。二人きりにしてくれた明日香には感謝しなきゃなって。…でもね、悠真くんが言ってきたんだ」



咲那が私を見上げ、にっこりと微笑んだ。



「“如月さんって、好きな人とかいるの?”って。その時、全部わかっちゃった。でもまだ認めたくなくて、聞いてみたんだ。悠真くんってもしかして、明日香のこと好きなの?って。そしたら悠真くん、見たこともないくらい真っ赤な顔してたんだー。サッカーの試合誘って来たのも、私が来れば明日香も来るからだったんだよ。つまり私はただのおまけ。ただの明日香の友達ポジション」


「何…それ。もしかしてそれで私が大倉くんに色目を使ったって思ってるの…?私はそんなことしてないよ!咲那のこと本当に応援して…」


「そんなの知ってるよ。明日香が私のこと裏切るわけないじゃん」


「…え?じゃあ、どうしてあんなこと…」


「どうしてって、そんなの簡単でしょ。悠真くんが明日香のこと好きだったから。むかついて嘘ついたの。明日香がみんなに嫌われちゃえばいいのにって思ったから」



気づいたら、咲那の頬を叩いていた。


咲那はまるで叩かれることがわかっていたかのように驚きもせずにやりと笑うと、突然「きゃあああ!」と悲鳴を上げた。