「熱、もう平気なのか?」



家の前で待っていてくれた玲音が、出てきた私の顔を心配そうに覗き込んできた。



「うん、大丈夫」


「そうか」



風邪を引いてから玲音とは毎日メールのやりとりをしていた。


内容はその日にあったこととかしたこととか、そんな他愛もないことだったけど、そのおかげでここ数日穏やかな気持ちで毎日を過ごせていた。



「そういえば…柏木が明日香のことすげぇ心配してた」


「…柏木、さん」



カラオケに行った日から会うのは今日が初めてだ。


嫌な感じで別れてしまったから、もしかしたらもう話しかけてもらえないかもしれない。