–––『明日香なんていなければよかったのに」



「…っ!」



…そうだ。何を勘違いしそうになっていたんだ。



「…また、絡まれないようにね。じゃあ」


「え、きさら…」



戸惑ったように引き止めようとしてくる柏木さんを無視して、急いでカラオケ店を出る。



そうだ。私が誰かのヒーローになんてなれるわけがないのに。


なにを調子に乗って“嬉しい”とか思っているんだ。


そんなこと思う資格なんて、私にはない。



「待って、如月さん!」