人にお礼を言われたのなんていつぶりだろう?


なんて返すのが正解かわからなくて、とりあえず小さく頷いておく。



「本当に困ってて、でも誰も助けてくれなくて泣きそうだったのありがとう!まさか如月さんが助けてくれるなんて思いもしなかった!」


「別に…」



…なんだろう。


なんか、こそばゆいと言うか、むずむずすると言うか…。



なんとも言えない気持ちが込み上げてきて、思わず顔をしかめてしまう。



「あ、違うの!悪い意味とかじゃなくて、その、なんて言うんだろう…。私、入学式の日に馴れ馴れしく話しかけちゃって、失敗しちゃったじゃん?距離感考えられないの昔からの私の悪い癖なんだ。それで嫌な思いさせちゃって、如月さんにきっと嫌われちゃっただろうなーって思ってたから、助けてくれて嬉しかったの」



にっこりと優しく微笑んだ柏木さんからは、言っていることが本心だということが窺える。