ガチャリと玄関の扉が開く重い音がした。



…これから起こることが、走馬灯のように頭に流れ込んできた。


思った通り、大量のお酒を入れたビニール袋を持ったお母さんが現れ、突っ立ったままの私を一瞥し横を通り過ぎていった。



「…また、仕事クビになったの?」



同じ言葉を口にしてしまってからハッと我に返るが、もう遅い。



「…は?」


「あ、や、その…」



慌てて何か言おうとするが、首を絞められているかのように何も言葉が出てこない。


パンッ!と甲高い音が響き、その直後にじわりと頬が熱く痛んだ。


…叩かれたんだと気付くのは、少し経ってから。