どこまでが冗談で、どこまでが本気なのかいまいち掴むことができなかった。


だけど、旭のくれる言葉は全部温かくて、真っ暗だった私の世界に一筋の光が通ったような気がした。



「…私も、旭の話聞くことくらいなら、してあげられるよ。人のことばっかりじゃなくて、自分だって苦しいならたまには誰かに頼りなよ。旭はそういうのしなさそうだから」


「えー出逢ったばっかりなのに、俺のことよくわかってるねー」



驚いたように目を丸くしながらからかうように顔を覗き込んできた旭に、慌てて赤い顔を隠すようにそっぽを向く。


今が夜で本当によかった。



「見て。今日は綺麗な満月だね」



ふと空を見上げた旭につられて私も顔を上げると、気づかなかったけどまん丸の満月が雲一つ邪魔されることなく神々しく光り輝いていた。



「すごい…。あんなに綺麗な月、初めて見たかも…」


「知ってる?すごく晴れた日の夜だと、この街でも星が見えることあるんだよ。都会って星が見えないのかと思ってたけど、引っ越してきた初日にたまたま綺麗な星空が見えたんだ」