–––「お母さんなんて大嫌い!」



あれはもちろん、私の本心なんかではない。



「…テストの点数がずっと悪くて、前からお母さんに怒られていたの。高校生になって、まだうまく学校で馴染むことができなくて、焦りと諦めで全部がどうでもよくなっちゃって…。勉強をすることもやめちゃった。投げやりな毎日で誰にも“助けて”って言えないまま、苦しさだけがずっと溜まっていく」



…ああ、そうか。


私、本当は誰かにずっと“助けて”って伝えたかったんだ。


だけど本当の気持ちは飲み込んで、嘘ばっかり吐いて何事もないかのように毎日を過ごして、そんなんじゃ何も変わるはずがないというのに。



「そっか。じゃあ俺が君のことを助けるよ」


「…え?」


「今、本音を話してくれたでしょ?そうやって辛くて苦しいことが溜まってしまった時は、いつでも俺に話してよ。それだけで救われるとは思っていないけど、そばに誰かがいてくれるのといてくれないのとじゃ全然違うでしょ?俺にとっても、居心地の悪い家にいるよりも役に立てるなら好きな子の隣にいられることの方がずっと嬉しいしね」