夜が来ることがずっと怖かった。


朝はまだいい。何かが“始まる”っていうワクワク感を感じられることだってあるから、まだ明るい気分でいられる。


だけど夜は、いつか黒い暗闇に呑み込まれてしまいそうな気がして、怖くて不安で夜なんて来なければいいのにと何度も願った…。



飛鳥(あすか)!またテストでこんな点数取って…なんのために学校に通ってるのよ!」


「まあまあ、飛鳥だってまだ高校に入ったばかりなんだし、環境に慣れてないだけだろ?」


「そんなこと言って…もう二ヶ月経ってるのよ!?日頃の小テストも点数が悪いのに定期試験までこの調子で、一体どうするつもりなの?」



ツナが生えているんじゃないかと錯覚するくらい怖い顔して怒っているお母さんと、それを必死になんとかなだめようとしているお父さんを交互に見てから視線を下に落とす。


学校が嫌いなわけじゃないし、勉強だってもっと頑張らないといけないなと自分でわかってもいる。


わかっているけど、人と関わることが昔から苦手な私は高校に入ってもまだうまく馴染むことができず、毎日何かしらお母さんに怒られる日々を送っていた。



「飛鳥、聞いてるの!?」