名字もなかなかに珍しいものだったから、まさか同姓同名なわけないと思いながらもA組を実際に見に行った。


そこにはあの日の面影を少しだけ残した明日香がいた。



「あす…っ」



話しかけて、もし忘れられていたらどうしようと思い直し寸前のところで踏みとどまった。


もしもそうだとしたらかなりショックだ。


…それに、俺は中学の時にかなりいいとは言えない女関係を築いてきたため、そんな汚い俺が明日香に知られてしまうような気がして怖かった。



結局俺は入学してから一度も明日香に話しかけることはなかった。


端と端のクラスだったため日常生活で顔を合わせることもほとんどなく、移動教室の時にちらりと盗み見るくらい。


明日香はいつ見ても一人でいて、笑っているところなんて見たことがなかった。



修学旅行の日も、もしも俺らのクラスも同じ時期に行けていたら、もしかして明日香と関わることがあったのかもな、と考えた。