「明日香。それは違うよ。明日香のせいじゃない。気づかないフリをしたってしなくたって、明日香のお母さんが傷つく未来は変えられなかったんじゃないかな。…だから自分がいなければなんて、俺みたいなこと言わないで。俺は明日香がいるこの世界が大好きだよ。明日香と出会えてよかったってそう思ってるよ」



止まっていた涙がまた溢れ出した。


朝陽は不思議だ。私が本当にほしい言葉をいつもくれる。救ってくれる。



「私も朝陽と出会えてよかったよ…っ」



朝陽は驚いたように目を見開いてから、嬉しそうに優しく笑った。



それから私は枯れるくらいたくさん涙を流して、朝陽はその間ずっと黙って頭を撫でてくれた。


やっとすっきりした頃にはもうすっかり辺りは暗くなっていた。



「もしも明日死ぬってわかったら、明日香は何をする?」


「…え?」