「母親が出ていってから父さんはずっと恋愛とは距離を取っていたけど、三年前に恋人ができたんだ。…でも俺を気遣ってんのか、再婚する気はないからって言ってきて、今もただ付き合っているだけ。別に気にしてないのに。父さんの人生なんだから好きにすればいいのに。そう思ったけど、父さんがそんな風に言うのも全部俺がいるせいだって気づいたんだ。俺さえいなければ父さんはもっと楽になれるはずのに、俺の存在が父さんの幸せを邪魔している」
–––––『あんたなんて、産まなきゃよかった』
それはお母さんの本心だったんだろう。
私がいなければ二人は離婚なんてしなかったかもしれない。お母さんが苦しまなくてすんだのかもしれない。
「いなくなりたいと、この世界から消えてしまいたいと何度も思った。…だけど俺には支えてくれる言葉があったから、今まで頑張ってこれたんだ」
「支えてくれた言葉…?」
「昔に一度だけ会った女の子が言ってたんだ。“今日が泣くほど辛かったなら、きっと明日は楽しいよ”って」
「それはなんていうか…根拠のない言葉だね…」
「あはは、たしかにそうだよね。小学生の時の話だし、その子とは俺が引っ越してから会ってもないんだけど、たしかに俺を救ってくれた。そんな言葉一つで頑張れるなら何も苦労はしないよって感じなんだけど、不思議と俺の心には響いたんだ。もう少し頑張ってみようって思えた。だからね、明日香。明けない夜はないんだよ。どんなに辛くて苦しくても必ず朝は来る。今の明日香は、苦しい日々を耐えたからこそ幸せになったんじゃないのかな」
–––––『あんたなんて、産まなきゃよかった』
それはお母さんの本心だったんだろう。
私がいなければ二人は離婚なんてしなかったかもしれない。お母さんが苦しまなくてすんだのかもしれない。
「いなくなりたいと、この世界から消えてしまいたいと何度も思った。…だけど俺には支えてくれる言葉があったから、今まで頑張ってこれたんだ」
「支えてくれた言葉…?」
「昔に一度だけ会った女の子が言ってたんだ。“今日が泣くほど辛かったなら、きっと明日は楽しいよ”って」
「それはなんていうか…根拠のない言葉だね…」
「あはは、たしかにそうだよね。小学生の時の話だし、その子とは俺が引っ越してから会ってもないんだけど、たしかに俺を救ってくれた。そんな言葉一つで頑張れるなら何も苦労はしないよって感じなんだけど、不思議と俺の心には響いたんだ。もう少し頑張ってみようって思えた。だからね、明日香。明けない夜はないんだよ。どんなに辛くて苦しくても必ず朝は来る。今の明日香は、苦しい日々を耐えたからこそ幸せになったんじゃないのかな」



