夜が明けたら君に幸せを。

「そうなんだ…心配かけてごめんね」


「あの…私のせいでごめんなさい」



清水さんがそっと唇の端にハンカチを当ててくれた。



「あの三人に入学してからすぐに目をつけられて…。きっと一人でいるような大人しいタイプの私だったからなんでしょうね。ずっと逆らうのが怖くて、言いなりにしかなれない毎日が苦しかった…。夏休みなのに今日も急に呼び出されて、ずっとこのままなのかなって絶望していたから、見ず知らずのあなたが助けてくれてすごく嬉しかったです。ありがとう」


「いや、そんな…。私こそ勝手なことしちゃって、これからもっと嫌がらせされちゃうかもしれないのに…」


「…そうなってもいいです。私はもう逃げません。私も言い返せる強い人になりたいって、あなたを見て思いました。それに、前から気にかけてくれるクラスメイトもいたので、今度からは少し頼ろうかなって」


「そっか…」



もしかして、前の世界でも私が気づいていなかっただけで気にかけてくれる人がいたのかな。


…そうだ。玲音はいつも気にかけてくれていたっけ…。



もっと、周りに頼ればよかった。そうすれば死にたいなんて思わなかったかもしれないのに…。