夜が明けたら君に幸せを。

「え?…じゃあちょっとだけ、顔出してくるね」



ごめん、と謝ってきた汐江くんになるべく笑顔を意識して手を振る。



…仕方ない。汐江くんが人気者なことくらい初めから知っていたんだし。


何を今更、少し複雑な気持ちになっているんだろう…。



「…あ、みんな…」



汐江くんが抜けたことを言わなきゃと前を向くと、そこに三人の姿はなかった。



「…え?」



背伸びをして周りを見渡してみるけど、三人の姿はどこにもいない。


やばい。目を離していた隙にはぐれてしまったみたいだ…。



とりあえず人混みを抜けてスマホで花音に電話をかけるけど、電波が悪いのか繋がらない。