夜が明けたら君に幸せを。

誰かに言葉を遮られ、その声に驚いて思わず手も離してしまう。



「あれ、萌。来てたの?」



汐江くんに後ろから抱きついたのは、いつものツインテールの女の子だった。


今日はツインテールをツインお団子にしていて、蝶々の可愛い浴衣も着ている。



「朝陽くん、浴衣かっこいいー!ねえ、萌の浴衣可愛いー?新しく買ったんだよー!」


「ああ、うん可愛いね」



きっと汐江くんにとっては何気ない一言なんだろうけど、私の胸はちくっと小さく痛んだ。



「ねえ、朝陽くん来てるって知ったらみんな喜ぶよ!あっちにクラスの子達数人いるから、行こうよー!」


「え、あでも俺…」


「行ってきていいよ。花音たちには私から伝えとくから」