「あ、ううん。花火を誰かと見るのとか久しぶりで、楽しいなって思って…わわっ」



突然、横でふざけあっていた大学生の集団がなだれこんできて、汐江くんの胸に顔をぶつける。



「大丈夫?」


「あ、うん…!ご、ごめん…」



慌てて離れようとすると、汐江くんにぎゅっと手を握られた。



「如月さんすぐ迷子になっちゃいそうだから、一応ね」


「な…っ、そんな子どもじゃないよ!」



汐江くんはあははと笑ったけど、私は繋がれた手が熱くてそれどころじゃなかった。


どうしてこんなに苦しいくらいドキドキするんだろう…。



「ねえ、そういえばさ、そろそろ名前で呼んでもいい?」