夜が明けたら君に幸せを。

櫻井くんは顔を覆っていた花音の手を優しく握った。



「そんなことないよ。花音はいつも綺麗だよ」



なんとなくいい雰囲気だと感じ取り、そっと離れようとするが砂浜に足を取られて転びそうになる。


だが、寸前のところでしーっと人差し指を唇に当てた汐江くんに後ろから支えてもらい、二人でその場を離れる。



「危なかったね、雰囲気壊しちゃうところだった」


「あ、ありがとう…」



汐江くんと少し離れた人気のない砂浜まで行き、腰を下ろす。



「汐江くんはあの二人のこと…」


「ん?ああ、知ってたよ。二人に聞いたわけじゃないけど、前からなんとなく両片想いって気づいてたからね」


「そうなんだ…。…ん?両片想い…?え?てことは、櫻井くんも花音のこと…」