彗 side
「起きて」
目が覚めると雨の顔が見えた。寝起きの頭で一瞬考えてから、今はクラスで出掛けていることを思い出した。
「お、起こしてくれてありがと」
やばい。また声が震えてしまった。変な子だと思われてないかな、と脳内で一人反省会が始まる。
「いいよ。先生が荷物まとめてだって」
返ってきた言葉は想像よりも暖かみのある声色だった。いつもは、引き気味の声で「あ、うん」の二文字が返ってくる。だから僕は、嬉しかった。
*
テントの中に三人。バスから降りたらすぐに先生が「ひとまず、テントはもう組み立ててあるので、一時間くらい休憩しましょう」と言われた。テントは思ったよりも狭い。人が五人入れるくらいの大きさだ。この密室には、なんとも言えない空気が漂っている。一軍で明るい雫、二軍の大人しめの雨、そして、どこのグループにも属さない僕。多分これが女子の言ってた"気まずさ"なのかな、と考えていた。
「荷物、そこに下ろして。」
雫が、気まずい空気を割くように口を開いた。この部屋に入った瞬間からずっと不機嫌だった。きっと早くこの部屋から出たいのだろう。声がいつもより低い。
「わかった。せっかくだし荷物まとめておこー」
雫の機嫌の悪さに気づいたのか、雨は普段より声のトーンがあがって緊張してる。
「そうえば、これから野外炊飯があるらしいよ」
「起きて」
目が覚めると雨の顔が見えた。寝起きの頭で一瞬考えてから、今はクラスで出掛けていることを思い出した。
「お、起こしてくれてありがと」
やばい。また声が震えてしまった。変な子だと思われてないかな、と脳内で一人反省会が始まる。
「いいよ。先生が荷物まとめてだって」
返ってきた言葉は想像よりも暖かみのある声色だった。いつもは、引き気味の声で「あ、うん」の二文字が返ってくる。だから僕は、嬉しかった。
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テントの中に三人。バスから降りたらすぐに先生が「ひとまず、テントはもう組み立ててあるので、一時間くらい休憩しましょう」と言われた。テントは思ったよりも狭い。人が五人入れるくらいの大きさだ。この密室には、なんとも言えない空気が漂っている。一軍で明るい雫、二軍の大人しめの雨、そして、どこのグループにも属さない僕。多分これが女子の言ってた"気まずさ"なのかな、と考えていた。
「荷物、そこに下ろして。」
雫が、気まずい空気を割くように口を開いた。この部屋に入った瞬間からずっと不機嫌だった。きっと早くこの部屋から出たいのだろう。声がいつもより低い。
「わかった。せっかくだし荷物まとめておこー」
雫の機嫌の悪さに気づいたのか、雨は普段より声のトーンがあがって緊張してる。
「そうえば、これから野外炊飯があるらしいよ」



