雨 side



「あ、私は彗と雫と同じ班だ」
「3人バラけたね」

「雨、雫と同じ班なの?!」

よりにもよって、何で三学期にキャンプなんてするんだろう。しかも、中三の終わりに。本当は受験勉強をしたいのに、気分転換のための行事らしい。なら班決めもランダムじゃなくせばいいのに。

「そうらしい…」

正直、あの子嫌いなんだよな。


雫のような明るい子は何も考えずに話していて自信があって羨ましい。いつも気を使って話してる私と違って。ずっとそう思っていた。陽キャグループを見るたびに眩しくて、悲しくなる。

*


(ほお)色の斜陽に、思わず目を閉じた。


もう一度車窓を見つめる。どこまでも続く冬枯れの田圃。それを取り囲むようにそびえる薄く雪をかぶった山々。バスに揺られて眠っている間に、何十分たっただろう。外は、よく見慣れた景色から知らない街に変わっている。

隣を見ると、同じ班の彗が心地良さそうに眠っている。彗は教室でいつも一人で本を読んでて、なんとなく話しかけるなオーラがでているから『一人が好きな子』のイメージだった。だから、もう少ししたらつきそうだから、今起こそうか悩んだけどキャンプ場についたらにしようと思った。


雫は、もともと彗の隣だったけど「ねー、うちと席変わって。お願い!」なんて言われたら断れない。もし私が「嫌だ」なんて言ったら何されるかわからない。

「皆さん、もう少ししたらキャンプ場につくので
             荷物をまとめておいて下さい」