夕方になったから、晩餐会が行われる所に王太子様とグレース様も一緒に移動したんだ。
 リリー様は、部屋で休むんだって。
 お腹がとても大きいし、無理をしちゃダメだよね。

「わあ、とっても広いね」

 晩餐会の会場は立食形式になっていて、それでいてダンスをする場所も確保されているんだ。
 だから、とっても広いんだよ。
 これなら、沢山の人がダンスできるね。

「そして、今夜の主役はリリーナとポチちゃんだね」
「おお、ポチ頑張る!」

 王太子様から頭をポンポンとされながら言われたけど、今夜のポチはきっと一味違うはずだよ。
 りっちゃんも今夜に向けて張り切っていたから、気合満タンなんだよ。

「ポチちゃん達は私達と一緒のテーブルだ」
「一段高くなっているね」
「主役の特権だ。ここから周りがよく見えるよ」

 王族と一緒に座るから、ポチとりっちゃんが座る席も特別なんだ。
 試しに席に座ると、とっても周りが見やすいんだ。
 まるでポチが王様になった気分だよ。
 
「グレースは、ポチちゃんの隣だよ」
「ポチの隣なんだ」
「そうだよ!」

 グレース様も、ちょこんとポチの隣に座ったんだよ。
 グレース様もとってもニコニコしているんだ。

「リリーナの隣はケインだ。これも決まっているぞ」
「ご配慮有難う御座います」
「周りの事は気にせずに、存分にいちゃいちゃする事だ」
「なっ!」

 おお、りっちゃんが王太子様から攻撃を喰らっているよ。
 王太子様もニコニコしながら、凄い攻撃を繰り出すなあ。
 思わずりっちゃんの顔が真っ赤になっちゃったよ。

「主役はもう少ししたら来るから、それまでは待ちだな」
「あ、陛下だ!」

 やれやれって言った感じで、陛下がどっかりとグレース様の隣に座ったんだだよ。
 何だかとっても疲れているけど、大丈夫なのかな?

「陛下、疲れていますか?」
「ああ、王妃が張り切ってケインの着付けをしていてな。ずっと付き合わされたぞ」
「そうなんだ」

 陛下は出された水をグイグイと飲んで、プハーって言っているよ。
 陛下も相当疲れたんだね。
 ポチもドレスを合わせる時に着せ替え人形になったから、大変さが分かるんだ。
 
 コツン。

「あなたはずっと座っていただけでしょうが」
「男にとっては、待つのも大変なんだよ……」

 王妃様が陛下の頭をコツンとしているけど、王妃様も綺麗なドレスを着ているんだよ。
 そして王妃様と一緒にきたケイン様が凄いんだ。
 王子様だよ王子様!
 凄い綺麗な服を着ていて、とってもキラキラしているんだよ。
 とっても似合っているし、イケメン度合いが更にパワーアップしているよ。

「リリーナも今日は素敵なドレスだね」
「あ、有難う御座います。ケイン様もとっても似合っていますね」
「ああ、折角だからって母上が張り切ってな」
「うふふ。折角のイベントがあるのだから、失礼にならない程度に着飾ったのよ」
「そうなんですね」

 王妃様もやり切ったって表情をしているんだけど、ケイン様とりっちゃんはお互いににこやかに見つめ合っていて効果抜群なんだ。
 他にも沢山の人が会場に入ってきたんだよ。
 そろそろ晩餐会も始まるのかな?