そして、晩餐会の日になったよ。
 ポチもりっちゃんも領主様も奥様も皆豪華な衣装に着替えて、お昼過ぎに馬車に乗って王宮へ出発!
 王宮に着いたら、ポチとりっちゃんに会いたい人がいるんだって。
 一体誰だろう?
 王宮の応接室に案内されると、そこには見知った人と初めての人がいるんだよ。

「ポチちゃんだ!」
「グレース様だ!」

 扉を開けて直ぐに、グレース様がポチに抱きついてきたんだ。
 ポチも、グレース様の事をギューって抱き返したんだよ。

「まだ出会って数日なのに、二人はもう仲良しだな」
「本当ね。とっても仲良しね」

 ポチとグレース様の事を、二人の男女が見ているんだ。
 男性はケイン様とそっくりで、女性はグレース様とそっくりなんだ。
 あと、女性はとってもお腹が大きいんだよ。

「私が王太子のランスだ。ケインの兄になる。そして妻のルルーだ」
「ルルーです。いつもグレースの相手になって貰ってありがとうね」
「おお、ポチはポチです。ケイン様とグレース様にそっくりなんだ」
「ははは、そりゃケインとは兄弟だからな」

 ケイン様よりも少し大人っぽいけど、王太子様もとってもいい人そうだよ。
 ルルー様は本当にグレース様にそっくりなんだ。
 グレース様が大きくなったら、ルルー様の様になるのかな?

「グレースも、もうすぐお姉ちゃんなんだ!」
「おお、それは凄いね!」

 グレース様はルルー様のそばに移動して、ルルー様のお腹を満面の笑みを浮かべながら撫でているんだ。
 とっても仲が良い家族なんだね。

「今日の晩餐会には妊娠中のリリーは参加できなくてな。グレースがお世話になっているから、是非とも合わせてやりたくてな」
「そうなんだ!」
「可愛らしいお嬢さんで、それにとっても明るいのね」
「えへへ」

 ルルー様にも頭を撫でられながら褒められたから、ポチもニコニコになったんだよ。
 とりあえず皆座って、お茶にするんだ。

「グレースがポチちゃんと一緒に踊るんだってずっと話していてな」
「色々な人に楽しそうに話しているのよ」
「そうなんだ! 何だか嬉しいな」

 王太子様とルルー様が、ニコニコしながら話してくれるんだ。
 グレース様がポチとのダンスを楽しみしてくれるなんて、とっても嬉しいなあ。
 勿論、ポチもグレース様とダンスをするのはとても楽しみなんだ。

「ポチもグレース様とダンスするの、とっても楽しみなんだ!」
「ポチちゃん、一緒に踊ろうね」
「勿論だよ!」

 グレース様ともう一回ギューって抱き合いながら、ダンスを踊ろうと言ったんだよ。
 もう、ポチ楽しみで仕方ないんだ。

「リリーナ、ケインが気合を入れて準備していたぞ」
「そうなのですか?」
「ええ、私もコーディネートを手伝いましたので、本番を楽しみにしていて下さいね」
「はい。私も頑張ってケイン様に恥じない様に、頑張って踊れるようにします」

 りっちゃんもふんすって気合を入れているんだよ。
 りっちゃんには、ケイン様と一緒にラストダンスを踊るという大役が待っているんだよね。
 りっちゃんに負けない様に、ケイン様も今夜に向けて気合を入れているんだ。
 これは晩餐会がとっても楽しみになってきたよ。