「そうか、そういう事なら私も全面的に協力しよう」
「正直言って、あの侯爵夫人は頭がおかしいからね。侯爵夫人と娘を見返す為にも、しっかりとやるんだよ」
「はい!」

 お茶会も終わってお昼前に屋敷に戻った所で、領主様と奥様に王宮であった事を報告したんだ。
 あ、王妃様が話して良いよって言ったから大丈夫だよ。
 何気に奥様があの香水臭いおばさんの事を馬鹿にしているけど、ポチもあのおばさんはちょっとおかしいなって思っているんだよ。
 
「ではお嬢様、基本のステップから始めましょう」
「はい」

 お昼ご飯を食べたら、りっちゃんは早速ダンスの練習を始めたんだ。
 ダンスを指導できる侍従のお姉さんが講師役だよ。
 りっちゃんは動きやすい服に着替えて、やる気満々なんだよ!

「じゃあ、細かい調整をするから動かないで下さいね」
「はーい」

 ポチはというと、明日謁見で着るドレスの手直しをしているんだ。
 りっちゃんが小さい頃に着ていた薄いピンク色のドレスなんだけど、ポチには少しだけ大きいみたいなんだ。
 偉い人が沢山くるからビシッと決めるって、侍従のお姉さんも真剣にお裁縫をしているよ。
 でも、ポチもずっとじーっとしているからすっごい大変なんだよ。
 
「「疲れた……」」

 おやつの時間になって食堂に着いたりっちゃんとポチは、二人とも疲れてヘロヘロになっていたんだよ。
 うーん、甘いお菓子が疲れた体に染み渡るよ。

「リリーナ、進捗はどう?」
「はい、基礎のステップは何とか覚えられました」
「そう、でも実践練習が始まるこれからが大変なのよ」
「頑張ります」

 奥様がりっちゃんに進捗を聞いているけど、もう基礎ができちゃったんだ。
 やっぱりりっちゃんは凄いなあ。

「ポチもドレス出来上がったよ」
「ポチちゃんは可愛いから、どんなドレスでも似合いそうね」

 ポチも準備はバッチリなのだ。
 ずっとじーっとしていた甲斐があって、可愛いドレスに仕上がったんだよ。
 だけど、じーっとしてたから、ポチ疲れちゃったんだ。

「二人とも、明日は今日よりも朝早いのだから、この辺にしておいて、後はゆっくり休みなさいね」
「「はーい」」

 今日は王宮での出来事や午後のドレスの裾直しもあったから、ポチはくたくたです。
 りっちゃんもダンスの練習で疲れちゃったので、お風呂に入って夕食を食べたら、ポチと一緒に直ぐに寝ちゃったんだ。
 明日は謁見だけど、一体何があるのかな?