「ポチちゃん、こっちよ」
「はーい」

 奥様に呼ばれて、ポチはトコトコとお風呂に向かって行くんだ。
 お風呂場には、りっちゃんの姿もあったよ。
 ポチも服を脱いで、お風呂に突撃!

「うわあ、広いお風呂だ!」

 お屋敷のお風呂は、孤児院のお風呂よりも何倍も大きいんだ。
 泳ぐ事もできちゃいそうだよ。

「我が家は皆お風呂好きですから、ちょっとこだわりがあるんですよ。空いている時間なら、侍従にも使ってもらっているのよ」
「へえ、そうなんだ!」

 ポチは豆柴の頃からお風呂が大好きなんだ。
 よくりっちゃんとも入っていたんだよ。
 そして、お風呂に入る前にしっかりと体を洗います。
 ポチは偉いから、ちゃんと頭も洗うのだ。
 くぅー、泡で目が染みるよー。

「ポチちゃんは一人で頭を洗えるのね。リリーナは昔から全然駄目ね」
「前のりっちゃんも、頭洗うのは下手くそだったよ」
「もう、二人とも余計な事を言わないで!」

 りっちゃんの事で盛り上がって、とても楽しいお風呂だったよ。
 そしてお風呂が終わったら、お待ちかねの夕ご飯!

「今日はポチちゃんが来るから、お祝いも兼ねて豪勢な物にしたんだ」
「おお、美味しそう!」

 とっても美味しそうなお肉の塊が、目の前のお皿にドーンってあるんだよ。
 しかも、とっても良い匂いもするんだよ。
 ポチの尻尾もぶんぶんとなって止まらないよ。

「頂きます! うーん、とっても美味しいよ」
「そうか、それは良かった。沢山食べてくれ」
「はい!」

 ポチはお肉の美味しさにニマニマが止まらないよ。
 ポチが美味しそうにお肉を食べるから、領主様も奥様もりっちゃんも、侍従のお姉さんもニコニコしているの。
 こんなに美味しいお肉なら、今度ミッケちゃんとリルムちゃんにも食べさせてあげたいな。
 お肉屋さんに聞けば、何のお肉か分かるかも。
 大満足の夕食だったよ。

「それでは、おやすみなさい」
「おやすみ、ポチちゃん」

 明日は朝早くに謁見とは別で王宮に行くんだって。
 なので、今日は早めにおやすみです。
 おやすみなんだけど……

「うう、寂しいよー」

 広いお部屋にポチ一人なので、とっても寂しいの。
 ポチは我慢できなくて、廊下に出ちゃったんだ。

「ふふ、やっぱりこうなると思っていたよ。ポチは昔から寂しいのが嫌だもんね」
「うん……」

 たまたま出会った侍従のお姉さんにお願いして、りっちゃんの部屋に連れて行ってもらったの。
 りっちゃんが何か言っているけど、ポチ寂しかったから耳がぺたんってなっちゃって良く聞こえなかったよ……

「ほら、一緒に寝ましょうね」
「わーい」

 りっちゃんと一緒に寝られるって分かったら、ポチ寂しい気持ちが吹き飛んじゃったよ。
 そしたら、急に眠くなっちゃったの。
 りっちゃんに抱きついて、あっという間に寝ちゃったよ。
 やっぱり、りっちゃんは良い匂いがするから安心するなあ。