「おはようございます!」
「やあ、おはよう。もうお待ちでしたか」
「うん、すっごく楽しみにしていたんだよ!」

 ポチは王都に行くのが待ちきれなくて、朝早く起きちゃったんだ。
 孤児院の門で待っていたら、領主様の馬車が来たんだよ。
 おお、いつもよりも大きいし、馬に乗った兵隊さんもいるんだよ。
 とってもとっても凄い大行列なんだよ。

「領主様、どうかこの子をよろしくお願いします」
「こちらこそ、大切にお預かりいたします」

 シスターさんと領主様がお話をしているけど、領主様って本当に丁寧で腰が低いよね。
 街の皆も、領主様の事を絶対に悪く言わないんだよ。
 りっちゃんと見た漫画の領主様はとっても悪い人だったから、公爵領の領主だったらいいなあ。

「ミッケちゃん、リルムちゃん。ポチがいない間のお手伝い宜しくね!」
「お任せだよ」
「ポチちゃんも気をつけてね」

 ポチがいない間は、ミッケちゃんとリルムちゃんにお手伝いを任せたの。
 ミッケちゃんとリルムちゃんなら、ポチも安心してお手伝いをお願いできるよ。

「行ってきまーす!」
「「行ってらっしゃーい」」

 ミッケちゃんとリルムちゃんに挨拶をして、ポチは馬車に乗り込んだよ。
 すると、ちょっとびっくりしたんだ。

「あれ? 奥様も一緒なの?」
「そうなのよ。今回は王宮で晩餐会もあるからね」

 馬車の中には、りっちゃんだけでなく奥様もいたんだよ。
 お世話する侍従のお姉さんもいるし、本当に凄い人数だね。
 全員揃ったので、いざ出発。
 馬車の前後は兵隊さんに守られていて、とっても安全です。

「さてポチちゃん、これからの事を話ししよう」
「はーい」

 おっと、領主様がポチにお話ししてくるよ。
 しっかりとお話を聞かないとね。

「今日はこのまま順調にいけば、夕方には王都に到着する。明後日に謁見の間で勲章の授与がされて、七日後には晩餐会だ」
「あれ? 随分と間が空いてるんだね?」
「空いている日は、お茶会とかも呼ばれているのだ。もう、沢山の申し込みがあったのだよ」
「へえ、そうなんだ!」

 おお、お茶会もいっぱいあるんだ。
 どんな人とお茶会をやるんだろう?
 ポチ、とっても楽しみなんだ。

 道中にある小領地にある食堂で、皆で昼食を食べます。
 いつもの孤児院の食事ではなく、とっても豪華な料理なんだ。

「りっちゃん、美味しいね!」
「そうだね。ああ、ポチ口がソースだらけだよ」
「むにぃ、ありがとう!」

 りっちゃんに口周りを拭いてもらったけど、とっても美味しい料理で思わずがっついちゃったんだ。
 ポチは、お腹いっぱいになるまで食べちゃったんだよ。

「ぐう、ぐう」
「おやおや、寝ちゃったかな?」

 ポチは朝早く起きちゃったから、いつの間にか寝ていちゃった様なんだ。
 折角王都に向かっているのに、全く満喫していないことに。
 ポチはとってもおバカです……