会長さんとの話も終わったけど、ポチとりっちゃんはまだまだ仕事は終わらないよ。
 今度はエプロンの時の様に、実際に着用して貰うんだ。
 という事で、香辛料屋さんにりっちゃんと行くのだ。
 今日はミッケちゃんとリルムちゃんが、香辛料屋さんでお手伝いしているんだよ。
 馬車から降りて、りっちゃんは杖をついて歩いていくよ。

「いらっさーい!」
「あ、ルーナちゃんだ」
「うふふ、小さい子が一生懸命に声掛けをしているわね。とっても可愛いわ」

 香辛料屋さんの前で、一生懸命にルーナちゃんが声掛けをしていたよ。
 ルーナちゃんも、もう立派にお手伝い出来ているね。
 りっちゃんもルーナちゃんの頑張っている姿を見て、思わずニコニコになったよ。

「あ、ポチねーねだ!」
「ルーナちゃん、頑張っているね」
「うん! おかあさんとおとうさんのおみせをてつだっているんだ」
「「「ルーナちゃんのお父さん?」」」

 あれ?
 ルーナちゃんってお父さんいたっけ?
 ルーナちゃんの家族は、ルーナちゃんそっくりのお母さんだけだった気がしたよ。
 ルーナちゃんの話を聞いて、思わず買い物に来ていたおばちゃんや仕事終わりの冒険者も寄ってきたよ。
 よく分からないので、ここはお店に入って本人に聞いてみよう。

「こんにちは!」
「あ、ポチちゃんとリリーナ様だ」
「お話し終わったの?」
「うん!」

 香辛料屋さんに入ると、ミッケちゃんとリルムちゃんが出迎えてくれたよ。
 お店の奥からは、香辛料屋さんの鬼族のおっちゃんと天使族のルーナちゃんのお母さんが顔を見せたよ。
 折角だから、先に用事を済ませちゃおう。

「じゃーん。ポチとりっちゃんが新しい物を作ったのだ!」
「へえ、これは口当てみたいな物だな」

 早速ポチはマスクを装着したよ。
 すると、おっちゃんがポチの事をジロジロと見てきたよ。

「あなた、香辛料を調合する時に刺激物を吸い込まなくて良いのでは?」
「成程、そういう使い方もあるか。ポチちゃん、これはどうやって手に入れるんだ?」
「まだ販売していないよ。今日会長さんに話をしてきたんだ! でも、おっちゃんに試して貰いたいの」
「そうか、なら有り難く使わせてもらおう。問い合わせがあったら、エプロンと同じ様に販売されるのを待つ様に言うわ」

 早速といった感じで、おっちゃんがマスクを装着していたよ。
 うまくマスクが機能して欲しいなあ。
 おっと、ここでりっちゃんが動いたぞ。
 きっとルーナちゃんのお父さんの事について話をするのかな?

「初めまして、公爵家のリリーナと申します。いつもポチがお世話になっております」
「お、お嬢様ですか。こちらこそポチちゃんにはお世話になっています」
「いつもルーナの事を良くして貰って、こちらこそ有難う御座います」

 先ずはお互いににこやかに挨拶しているよ。
 そしてズバッとりっちゃんが一言。

「先程、ルーナちゃんのお母様がそちらの男性をあなたと呼びましたが、お二人はご結婚されているのでしょうか?」
「「あっ」」

 にこやかに微笑みながら、りっちゃんが二人にぶっ込んできた!
 おっちゃんとルーナちゃんのお母さんは、思わず固まってしまったよ。
 ポチはこの後の展開にドキドキだよ!

「あれ? 確かもう籍入れたって言ってたよ」
「結婚式どうしようかって言っていた」
「「あっ」」

 おっと、ここでミッケちゃんとリルムちゃんが色々バラしちゃった!
 おお、おっちゃんとルーナちゃんのお母さんは顔が真っ赤になっているよ。
 照れているおっちゃんが、とっても可愛いなあ。

「ルーナちゃん、おっちゃんがお父さんになってくれて良かったね!」
「うん! いっしょにおふろにもはいってくれるんだよ」

 ポチがルーナちゃんに聞いたら、ルーナちゃんは思いっきり喜んでいるよ。
 これはもう確定だね。

「ルーナちゃんのお母さん、良かったね!」
「ええ、ポチちゃんにも色々とお世話になったわ」

 ルーナちゃんのお母さんも認めたよ。
 とっても良い事なので、ポチも嬉しいなあ。

「となると、折角だから結婚式を挙げてやらないとね」
「司祭様にも相談しないと」
「おっちゃんには色々とお世話になっているからなあ」
「わあ!」

 おっと、いつの間にかお店の中には商店街のおばちゃんとか冒険者がいっぱい集まっていたよ。
 皆、どうやったらおっちゃんとルーナちゃんのお母さんの結婚式ができるか話し合っていたよ。
 
「結婚式ならポチもお手伝いするよ!」
「そうね、私もお手伝いしてみたいですね」
「あ、ならミッケもお手伝いするよ」
「リルムもお手伝いする」

 おお、皆も結婚式のお手伝いをする気満々だよ。
 おっちゃんは少し慌てているけど、ルーナちゃんのお母さんはニコニコなんだ。
 ふふふ、また楽しみが一つ増えたなあ。