「いらっしゃい!」
「お、今日もポチちゃんは元気だね」
「ポチはいつも元気だよ!」

 パン屋さんが開店したから、ポチも元気よく声掛けするよ!
 今日はルーナちゃんが見に来るから、いつも以上に張り切っちゃおう。

「いらっしゃい! 今日はお肉屋さんでも、お肉がお買い得だよ」

 今日は良いオーク肉が手に入ったって、お肉屋さんのおかみさんが言っていたんだよ。
 だから、併せてお肉屋さんの宣伝もしちゃおう!
 パン屋さんでは、ミッケちゃんとリルムちゃんも忙しそうに接客しているよ。
 最近、パン屋さんにくるお客さんが増えているかなって気もしているんだ。
 でも、ポチは人がいっぱいいてもお手伝いの手を抜かないよ。

「わあ、ねーねすごい!」
「あ、ルーナちゃん!」

 少し客足が落ち着いて来た所で、シスターさんに手を引かれてルーナちゃんがやってきたんだ。
 ルーナちゃんは、ポチの声掛けと接客をみて大喜びしているよ。
 せっかくだから、ルーナちゃんをパン屋さんの中に案内するよ。

「ねーねがいるよ!」
「ルーナちゃんどうかな、働くミッケちゃんとリルムちゃんは?」
「カッコいい!」

 パン屋さんの中でお手伝いをしているミッケちゃんとリルムちゃんを見て、ルーナちゃんは再び大興奮。
 その間に、マーサさんとシスターさんがお話をしているよ。

「シスターさん、この子って確か香辛料屋さんで働いている方の娘さんですよね?」
「ええ、そうなんですよ。入院される間、孤児院で預かる事になりまして」
「商店街の人も女性が脚を悪くしているのを気にしていたんですよ。でも、この際ですから治療をしっかりと受けられればいいですね」
「そうですね。一週間後にポチちゃん達が病院でお手伝いをするので、一緒にルーナちゃんを連れて行って様子を見てきますわ」

 そうなのだ、ルーナちゃんが孤児院に来る前からポチ達が病院にお手伝いに行く事が決まっていたのだ。
 ルーナちゃんのお母さんが病院に入院しているとなると、ポチも頑張ってお手伝いをしないと。

「ねーね、バイバーイ」
「「「ルーナちゃん、また後でね!」」」

 ルーナちゃんはマーサさんとお話を終えたシスターさんと共に、孤児院に帰っていったよ。
 さあ、この後もポチはお手伝いを頑張るのだ!
 いっぱい声掛けをして、パンを沢山売るんだよ。
 ミッケちゃんとリルムちゃんも、ルーナちゃんがパン屋さんにきてからますますやる気満々になったんだ。
 ポチも、ミッケちゃんとリルムちゃんに負けない様に頑張らないと。