「わあ、小っちゃくて可愛いね」
「本当ね、可愛いね」
「可愛い」

 今日、孤児院に小さな可愛らしい女の子がやってきたんだ。
 天使族の女の子で三歳だから、とっても小さいの。
 女の子の名前は、ルーナっていうんだ。
 金髪の長い髪をポニーテールにして、小さな羽をぱたぱたさせているの。
 ポチとミッケちゃんとリルムちゃんは、一目でルーナちゃんの事が気に入ったんだよ。

「この子はお母さんが入院するから、その間預かるのよ。そうね、大体一か月位かな」
「そうなんだ! よろしくね、ルーナちゃん」
「よろちく!」

 お母さんが病気なんて大変だから、ポチが頑張ってお姉ちゃんをしてあげないと。
 りっちゃんが治療で入院した時、ポチ一人で寂しかったもんな。
 今は明るい表情だけど、きっとルーナちゃんもお母さんと離れる事になって寂しいはずだよ。

「シスターさん、短い間でも子どもを預かる事あるんだ」
「そうね、やむを得ない事情の場合は孤児院で預かる事があるのよ。ルーナちゃんはお父さんがいないから、お母さんが入院中は面倒を見る人がいなくなっちゃうのよ」
「大変だね。お母さんが入院だなんて」
「でも、しっかり治療を行えば治る病気だから心配いらないわ」
「それは良かったよ」

 ルーナちゃんはお母さんが病気でやむを得なく孤児院に来ているだけで、お母さんの病気はちゃんと治るのは嬉しいよね。
 さて、今日ポチ達はパン屋さんでお手伝いだけど、ルーナちゃんどうしようかな。
 ルーナちゃんは、ミッケちゃんと手を繋いで離れないんだよね。
 シスターさんが、ミッケちゃんと手を繋いでいるルーナちゃんに話しかけてきたんだよ。

「ルーナちゃん、この後お姉ちゃんはお仕事があるの。私と一緒にお留守番しようね」
「えー?」
「じゃあ、後でお姉ちゃんの働いている所を見に行こうか?」
「うん!」

 ルーナちゃんは会って直ぐにミッケちゃんに懐いた様だけど、お話はちゃんと聞いてくれるんだ。
 ルーナちゃんが見に来るなら、ポチもお手伝いを張り切っちゃおう!
 という事で、ポチはミッケちゃんとリルムちゃんと一緒にお手伝いに出発です。

「「「行ってきます!」」」
「はい、行ってらっしゃい」
「いってらー!」

 シスターさんと抱っこされているルーナちゃんに見送られて、ポチ達はパン屋さんに向かうよ。

「マーサさんにも、ルーナちゃんがお手伝いをする所を見に来るって言っておいた方がいいよね?」
「そうだね、言っておいた方が良いね」
「事前連絡は大切だよ」

 皆で手を繋ぎながら話をしているけど、マーサさんなら話をしておけば大丈夫だと思うなあ。
 そう思って、パン屋さんについたら早速マーサさんにルーナちゃんの事を話したよ。

「ルーナちゃんのお母さんって、商店街の端にある香辛料のお店に勤めている奥さんの事じゃないかな?」
「ああ、あたしも聞いたことがあるよ。脚が悪くて入院しなくちゃって言っていたよ」
「ええ、そうなんだ」

 マーサさんに事情を話したら、お肉屋さんのおかみさんも井戸端会議に参加してきたよ。
 ルーナちゃんのお母さんは、実は同じ商店街で働いている人だったのでポチもミッケちゃんもリルムちゃんもとてもビックリしたんだ。
 これは、後で香辛料のお店にもお手伝いに行かなければ!
 後でマーサさんに、香辛料のお店の事を聞いてみよう。
 でも、先ずはパン屋さんの開店準備だよね。
 ポチ達は、手分けしてお店の開店準備を始めたよ。