今日はいつも通りにパン屋さんでのお手伝いなんだけど、ちょっとしたイベントがあるのだ。
 
「うう、美味しいって言ってくれるかな?」
「大丈夫よ、試食したらとっても美味しかったんだから」
「そうそう、自信持って」

 実はここ数日、パン屋さんの皆でミッケちゃん考案の新作パン作りをしていて、今日お披露目となるんだよ。
 今回皆で作ったのは、お肉サンドイッチ。
 お肉さんの美味しいお肉をタレで焼いて、パン屋さんのパンと八百屋さんのレタスでサンドイッチにしたの。
 ミッケちゃんは不安でいっぱいだったけど、皆は試食したらとても美味しかったから自信満々だよ。
 
 何でか知らないけど、この世界のパン屋さんにサンドイッチがなかったんだ。
 でも、そのサンドイッチをポチじゃなくてミッケちゃんが考えたんだよ。
 ミッケちゃんって本当に凄いな。
 今回はお肉サンドイッチだけど、これが上手くいったら他のサンドイッチも作るんだって。

「ポチちゃん、準備できたわ」
「よーし、じゃあ声掛けするね!」

 おっと、マーサさんからパンの準備ができたって声かけられたよ。
 よーし、ここからはポチの出番だよ!
 エプロンをして三角巾をして、準備完了。
 今日は、ポチも気合入れて声掛けをするよ。

「いらっしゃーい! 今日は新作パンがお勧めだよ。お肉屋さんと八百屋さんとのコラボレーションだよ!」
「何だか、ポチちゃんたまに難しい言葉を使うよね」
「そうだね」

 ふふふ、前にりっちゃんと一緒に街に行った時に、同じ様に声掛けをしている人がいたんだよ。
 ミッケちゃんとリルムちゃん、これは新たな声掛けスタイルなのだ!

「おお、ポチちゃん。新作パンってどんなものだ?」
「お肉サンドイッチだよ。パンと一緒にお肉とレタスも食べられるんだ!」
「成程、一つのパンで肉と野菜を食べられそうだな」

 おっと、早速冒険者のおっちゃんがポチに声をかけてきたぞ。
 もしかしたら、お肉サンドイッチは冒険者が依頼中に食べるのにも便利かも。
 
「おお、これは持ち運びが便利だな」
「日帰りの依頼だったら、これで十分だな」
「野菜も一緒に食べられるのは良い事ね」

 おお、やっぱりポチの考えた通りだったよ。
 お肉サンドイッチは、あっという間に冒険者の間で噂になってどんどん買っていくよ。

「ポチちゃん、このお肉サンドイッチって誰が考案したの?」
「ふふふ。何とミッケちゃんが考案して、お肉屋さんと八百屋さんと一緒に試作品を作ったのだ!」
「おお、そうなんだ。ミッケちゃんは凄いね。この前も新作パンを考えていたんだよ」
「へー、そうなんだ。ミッケちゃんって凄いんだね!」

 おお、女の冒険者の人から凄い事を教えて貰ったよ。
 ミッケちゃんって、お肉サンドイッチ以外にも新作パンを作っていたんだ!
 パン屋さんの方をちらりと見たけど、ミッケちゃんが冒険者に頭を撫でられていたんだよ。
 他の冒険者も、ミッケちゃんがお肉サンドイッチを考案したのが分かったんだ!
 作ったお肉サンドイッチは、冒険者が買い漁ってあっという間に売り切れ。
 予想以上に売れたので、ミッケちゃんもホクホク顔だよ。

「うーん、これは予想以上に売れたわね」
「マーサさん、冒険者からはこんな意見もありました」
「どれどれ……」

 おお、流石はミッケちゃん。
 お肉サンドイッチを販売しながら、改良点やこういう商品があったらっていうのを聞いていたんだ。
 早速マーサさんと、お肉サンドイッチの改良と新製品について話し合っているよ。

「なんだいなんだい、面白い案がありそうじゃない?」
「一緒に作戦会議に混ぜてくれ」

 そして商人の嗅覚というか、お肉屋さんと八百屋さんのおかみさんもやってきて、マーサさんとミッケちゃんと一緒にあーだこーだ始めているよ。
 うーん、どんな新商品が出来るかとっても楽しみだな。

「いらっしゃい! 美味しいパンがいっぱい売っているよ!」

 まだまだお手伝いの時間だから、ポチは他のパンを売る為にもっと声掛けを頑張っちゃおう!