私はあなたが憎かった。
でも、あの日から私たちの人生が変わってしまったからじゃない。
あの日は私の授業参観だった。
初めて私の参観日に来てくれた父が、よく頑張ったなって、俺は嬉しいから飲むぞって。
連れて行ってくれた場所があの居酒屋だった。
私の授業参観がなければ、私が行くと言わなければ、父は死なずに済んだ。
私は私の中の後悔と罪を、全部あなた達への憎悪に変えて自分を保っていました。
辛かった日々も、諦めた夢も全て、私は私の罪と罰をあなた達に押し付けて憎んでいました。
私が憎かったのはあなたではなく、あなた達ではなく、私自身でした。
あなたの苦労を聞くたびに、あなたの苦しみを知るごとに、私に似すぎている状況と私のせいで傷ついているあなたを認めるのが辛かった。
付き合ってしばらくすると、あなたの温もりを感じるのが心地良くなった。
でも、それも認めるわけにはいかなかった。
私は、振り上げた拳をそのまま下ろすことができませんでした。
あなたが気付いてくれて良かった。
あなたで良かった。
大
そこで手紙は終わっていた。
「あぁ、あぁぁぁ! わぁぁぁー!」
初めて水辺に連れて行ってくれた時の君の言葉。
そして話をした時の楽しそうな顔、悲しそうな顔。
父のことを告白した時『整理がつかない』と言った本当の意味。
そして、茜が問いかけた言葉。
たくさんの茜のサインに、僕は気付かなかった。
泣いて。声が枯れるまで泣いて。
そして僕は精一杯の笑顔で栞を見つめた。
「必ず見つけるよ、茜。僕も大好きだよ」
僕はローズマリーの花言葉を心で呟いた。
それから僕は、茜の友達に引っ越し先について知らないかを訊いて回ったり、先生になんとか教えてもらえないかと頼んだりしたけど、なんの収穫もないまま時だけが過ぎた。玄も色々な案を出してくれたがどの方法でも見つけることができず、僕達は三年生になっていた。
二年の間に、僕の家の環境も大きく変わった。父が行政のサービスを受けるようになり、僕や母の負担が減った。少しずつ周りとの付き合いも増えていき、助け合って仲良くやっているみたいだ。
僕と玄の進路も決まった。僕は看護専門学校、玄は検査技師になるために大学へ進学することになった。玄がどこからかパンフレットを持ってきて
「ここは提携の病院で五年働けば奨学金免除になるらしいぞ! 行け!」
と、何故か命令され、家族会議の末決定した。
僕はやはり医療の道を諦めることはできなかった。寮生活になるので両親のことが心配だったけど、玄がちょくちょく様子を見に来てくれるらしい。そして、茜の情報も継続して探してくれるという。
「玄、ありがとう」
「問題ない。身体には自信があるんだ」
「『体力』な」
そして僕達は卒業し、それぞれの場所へ旅立った。
でも、あの日から私たちの人生が変わってしまったからじゃない。
あの日は私の授業参観だった。
初めて私の参観日に来てくれた父が、よく頑張ったなって、俺は嬉しいから飲むぞって。
連れて行ってくれた場所があの居酒屋だった。
私の授業参観がなければ、私が行くと言わなければ、父は死なずに済んだ。
私は私の中の後悔と罪を、全部あなた達への憎悪に変えて自分を保っていました。
辛かった日々も、諦めた夢も全て、私は私の罪と罰をあなた達に押し付けて憎んでいました。
私が憎かったのはあなたではなく、あなた達ではなく、私自身でした。
あなたの苦労を聞くたびに、あなたの苦しみを知るごとに、私に似すぎている状況と私のせいで傷ついているあなたを認めるのが辛かった。
付き合ってしばらくすると、あなたの温もりを感じるのが心地良くなった。
でも、それも認めるわけにはいかなかった。
私は、振り上げた拳をそのまま下ろすことができませんでした。
あなたが気付いてくれて良かった。
あなたで良かった。
大
そこで手紙は終わっていた。
「あぁ、あぁぁぁ! わぁぁぁー!」
初めて水辺に連れて行ってくれた時の君の言葉。
そして話をした時の楽しそうな顔、悲しそうな顔。
父のことを告白した時『整理がつかない』と言った本当の意味。
そして、茜が問いかけた言葉。
たくさんの茜のサインに、僕は気付かなかった。
泣いて。声が枯れるまで泣いて。
そして僕は精一杯の笑顔で栞を見つめた。
「必ず見つけるよ、茜。僕も大好きだよ」
僕はローズマリーの花言葉を心で呟いた。
それから僕は、茜の友達に引っ越し先について知らないかを訊いて回ったり、先生になんとか教えてもらえないかと頼んだりしたけど、なんの収穫もないまま時だけが過ぎた。玄も色々な案を出してくれたがどの方法でも見つけることができず、僕達は三年生になっていた。
二年の間に、僕の家の環境も大きく変わった。父が行政のサービスを受けるようになり、僕や母の負担が減った。少しずつ周りとの付き合いも増えていき、助け合って仲良くやっているみたいだ。
僕と玄の進路も決まった。僕は看護専門学校、玄は検査技師になるために大学へ進学することになった。玄がどこからかパンフレットを持ってきて
「ここは提携の病院で五年働けば奨学金免除になるらしいぞ! 行け!」
と、何故か命令され、家族会議の末決定した。
僕はやはり医療の道を諦めることはできなかった。寮生活になるので両親のことが心配だったけど、玄がちょくちょく様子を見に来てくれるらしい。そして、茜の情報も継続して探してくれるという。
「玄、ありがとう」
「問題ない。身体には自信があるんだ」
「『体力』な」
そして僕達は卒業し、それぞれの場所へ旅立った。
