夏休みはあっさり終わってしまった。セミの鳴き声はもう聞こえないみたい。秋が来たって感じがした。これからもっと受験が厳しくなる。そんな不安を背負いながら、通学カバンと沢山の不安を背負って学校へ行った。家を出ると、同じマンションに住んでいる乃愛が、やっぱり待ち伏せしてて、爽やかな顔で、「おはよう!」と言った。「おはよう」乃愛とは幼馴染、私の親友だ。乃愛の綺麗なツインテールは、いつも通りに揺れていた。乃愛はいつも通り、呑気に歩いてた。私が必死すぎるのかな。あれが普通なのかな。私も乃愛みたいに呑気なふりをした。友達と思い出をたくさん作りたい。でも、そんな思いに何もとどかない。気がついたら学校についていた。不安が一気に増して来た。「おはよー。奈美、元気だった?」「凛、おはよー」凛とも幼馴染。いつもこの3人で遊んでいる。「乃愛もおはよー」「おはよう!」二人とも楽しそう。こんな中でも勉強のことを考えてしまう私は変だよね。[みんな]みたいにしなきゃ。せっかくの中学の最後だし、きちんと思い出作りたいのに、やりたいこと全て[勉強]に踏みつけにされちゃう。凛と乃愛とクラスで分かれると、自分の席に着いた。窓から刺してくる光が眩しかった。そんな時、私の席の後ろにいる柑奈が言った。「奈美は受験、心配?」「え...うん」「私、すごい心配なんだよね。私だけじゃなくてよかった」「...私も。安心した」「私ね、バスケをやってるの。大好きなんだけど、受験のせいで、あまりできないの」同じだ。私もだよ。私も思い出作りたい。[やりたい]みんなそうなんだね。よかった。今日だけ、遊んじゃおっかな。 
  
今、やりたいことをやる。それって、何より大切だよね。未来じゃなくて、今が一番、だよね。
明日は、きっと今日より輝いているよね。