それからしばらく月日が過ぎた。


 私は朝のニュースを脇見しながらご飯を食べて、歯を磨き、制服に着替えて登校。

 途中で、生徒の何人かと会う。

 挨拶だけ交わして、その子たちは通り過ぎていく。

 朝練で忙しいらしい。

 私は学校に着くと、自分の席からかなり離れた所にいる、女子に話しかける。その子はそこまで活発な方じゃないけど、成績はかなり良い。

 私はその子に続いてクラスで三番目くらいの成績だ。高校は中学と違い、一クラスの生徒の人数も多いから、三番目はかなりすごい位置にいる。

 そして、私はたまたまだけど親がケチで塾に行っていない。それなのに悪くない成績を採っていることから、その女子と仲良くすることができた。

 その子ともう一人いるけど、どちらもカースト上位の未来ちゃんとかに比べると、地味だと思われる女子だ。だけど、決して可愛くないと思われるルックスではなく頭も良い。

 頭が良いと、カースト高い男子とかは面倒くさいとか思われて、避ける傾向にあるらしいけど、本当にそうだった。

 たまに話すのを見ることはあるけど、どこか気を遣っているというか、遠慮しているのか分からないけど、話しにくそうな顔をしていた。

 男がそこまで寄って来ないし、かと言って女子からブサイクとか言われる部類ではない、数少ない女子たちに私は所属している。

 本当に私は自分でも思うけど、ゲンキンな奴なんだと思う。

 だって彼女たちと話してても違和感が無いと思われないほど、学校では勉強を頑張ったし、私が彼女たちの成績を超すことは絶対に無い。

 運が良かった。高校というのは案外広い。

 妥協すればいくらでもやり直すことはできるのかもしれない。

 多分、未来ちゃんもだけど、今、話しているこの子たちも私が打算で行動していることは、分かっているのかもしれない。

 もし、知られていたとしても、私のそこが気に入らないからハブる、なんてことは今のところしてこない。

 してこられないように、私は必死に頑張っている。

 男子とか女子とか、今いるこの場所は面倒くさい。

 ただでさえ同性だけでも面倒くさいのに、異性が絡むともっと面倒くさくなるらしい。

 あの後に聞いたけど、やっぱり男子は男子で運動関連によって結構、女子とは違う意味でドロドロ的なものがあるのを知った。

 体育祭やら球技大会。あれで、特に女子とかにキャアキャア騒がれているのを聞いて、その男子が得意げになっていると、露骨に嫌な顔をする。

 それにたまたま私は気づくことができた。

 まあ、入学当初の頃を考えて学習しなきゃと思って見ていたら、男子が運動の分野で、女子にキャアキャア騒がれて得意げになっているのを見ると、舌打ちしたり、嫌な奴、調子に乗ってる、なんて言っているのを見かけた。

 今考えれば、中学校の時もリレーで優勝したクラスでは、一番活躍したとされる男子が表彰されてコメントなんてものを聞くと、ものすごく嫌な奴だと陰口を叩いていた気がする。

 もちろん、それは私が後から考えてそうだったかもしれないと思ったことだ。

 私が一回ミスしなかったら考えもしなかった。

 だから、球技大会などで女子に騒がれて得意げになった男子の悪口を言っているのを、私以外の女子は見向きもしないから、知らないことが伺える。

 
 結局、男子も女子も面倒くさいのだ。

 この狭い教室の中にいる限り、そういうカーストからは逃げ出せないんだ。

 ……でもこれはいつまで続くのだろうか。

 大学になっても終わらない気がするし、大人になったらどうなるのだろうか。カーストなんてものは無い。ならどうなるのだろうか。

 成績とかが良くない、カーストが低いとされた者は、クビにされるんじゃないだろうか?

 ……いや、今はそんなことを考える必要はない。

 私は今、この頭が良い女子グループにいる。カーストが高いわけじゃないけど、特別低いわけでもない。

 今の私が位置すべきなのはこのグループだ。

 今度は身の丈に合っているはずだ。

 大丈夫……大丈夫。

 そう言い聞かせながら、今日も彼女たちと話をする。