今、会いにいけるなら会った方がいいと私自身がよく分かっていた。
だから、重たい足を引きずるように彼の元へと向かう。

進みながら頭には彼との思い出でいっぱいいっぱいだった。
二人、純粋に笑い合っていたあの頃。

そんな日々がずっと続いていくんだと思っていた。
だけど、そう思っていたのはわたしだけ。

彼はちゃんと先を見ていた。
自分の未来。そして、幸せな時間のタイムリミット。

わたしだけが知らなかった彼の秘密。
彼はずっと隠すつもりだったのでしょう?

でも、隠されていたという事実がわたしの心にヒビを入れるのだった。

この信号を渡ればというところだった。
頭には彼の笑顔が浮かぶ。

そして、世界は反転するのだった。