「じゃあ、部屋を決めようか」
「あのさ、ここってどこなんだ?あと、なんでこんな場所に集められてんだ?」
目が覚めた時からずっと思っていた疑問を千草にぶつける。誰もなんの疑問を持たずにここにいるわけではないはずなのに、誰も疑問を口にしない。だから、何もわからないままだった。
「そうだね、俺が一番初めに目が覚めたんだけどね。目の前にはある手紙が置かれていたんだよね」
腕を組みながら、そのときのことを思い出そうとしている千草をジーと見つめる。その手紙には何が書かれていたのか。そして、手紙は誰が書いたものなのか。
「んー、覚えてないんだよね」
その言葉にギャグ漫画のような転びをしそうになる。琥珀なんかは、ズコっと音が出そうな勢いでズッコケていた。おそるおそる手をあげたのは、杏だった。杏は、口パクで話始める。彼女はどうやら何らかの事情で喋れないらしい。
「あー、キミも読んでたね」
「ん?えっと。『内容、覚えてるから紙ってどこにあるの?』だってよ」
杏の口の動きを見て何を言いたいのか、琥珀は首をひねりながらも言った。
「え?何言ったのか分かったの?」
瑠璃が驚きの声をあげる。だけど、琥珀は動作もないように杏を見つめてから、僕たちへと視線を移す。
「いや、唇の動きで分かった。杏って学校同じだったよな。噂を聞いたことがあってよ」
「噂?」
「そう。声が出なくなって喋れない子が一年にいるって」
じゃあ、杏と琥珀は同じ高校なのか?ここに集まっている僕たちに関係性なんてないと思っていたのに。やっぱり何かしら関りはあるんだろうか?
「じゃあ、俺が見てみんなに伝えるから、杏は口パクでもいいよ」
杏は不安そうにコクリと頷き、口を開く。
『ここに集まった千草、瑠璃、紺、千歳、杏、琥珀。君たちは、絡み合った縁で繋がっている。そんな君たちは、この無人島で1か月過ごしてもらう。無人島といっても、施設はそろっている。この1か月で楽しむとよい』
その手紙はものすごく上から目線で、誰が書いたのかわからない。そして、僕たちの名前を知っているのも謎だし、どうやって僕たちをここまで運んだのかとか、謎が多すぎる。だから、こそこの手紙を信用していいのか、信用してはいけないのかの判断がしにくい。
「まあ、そういうことだからさ。一か月よろしくな」
琥珀は白い歯をちらつかせながら笑い、杏の頭を撫でる。その笑顔には杏を安心させる輝きがあった。その笑顔を僕は見たことがある。それは、誰かを安心させるために笑い誰かのための笑顔だった。その笑顔を奪ったやつを僕はずっと許せない。いっそのこと、死んでくれたらよかったのに。僕はあれから、ずっと生きている気がしない。心はどこかに行ってしまったようなずっとフワフワしている。
「じゃあ、部屋は早いもん勝ちな」
ニヤっと顔を歪ませ、小部屋につながる廊下へ走っていく。それを見た瑠璃が「ずるい。私も」そう言って追いかける。そのあと、「えっ、俺も決めてる部屋あるんだけど」と千草がそのあとを追いかける。リビングに残ったのは、やっぱりお決まりの三人だった。
「あのさ、ここってどこなんだ?あと、なんでこんな場所に集められてんだ?」
目が覚めた時からずっと思っていた疑問を千草にぶつける。誰もなんの疑問を持たずにここにいるわけではないはずなのに、誰も疑問を口にしない。だから、何もわからないままだった。
「そうだね、俺が一番初めに目が覚めたんだけどね。目の前にはある手紙が置かれていたんだよね」
腕を組みながら、そのときのことを思い出そうとしている千草をジーと見つめる。その手紙には何が書かれていたのか。そして、手紙は誰が書いたものなのか。
「んー、覚えてないんだよね」
その言葉にギャグ漫画のような転びをしそうになる。琥珀なんかは、ズコっと音が出そうな勢いでズッコケていた。おそるおそる手をあげたのは、杏だった。杏は、口パクで話始める。彼女はどうやら何らかの事情で喋れないらしい。
「あー、キミも読んでたね」
「ん?えっと。『内容、覚えてるから紙ってどこにあるの?』だってよ」
杏の口の動きを見て何を言いたいのか、琥珀は首をひねりながらも言った。
「え?何言ったのか分かったの?」
瑠璃が驚きの声をあげる。だけど、琥珀は動作もないように杏を見つめてから、僕たちへと視線を移す。
「いや、唇の動きで分かった。杏って学校同じだったよな。噂を聞いたことがあってよ」
「噂?」
「そう。声が出なくなって喋れない子が一年にいるって」
じゃあ、杏と琥珀は同じ高校なのか?ここに集まっている僕たちに関係性なんてないと思っていたのに。やっぱり何かしら関りはあるんだろうか?
「じゃあ、俺が見てみんなに伝えるから、杏は口パクでもいいよ」
杏は不安そうにコクリと頷き、口を開く。
『ここに集まった千草、瑠璃、紺、千歳、杏、琥珀。君たちは、絡み合った縁で繋がっている。そんな君たちは、この無人島で1か月過ごしてもらう。無人島といっても、施設はそろっている。この1か月で楽しむとよい』
その手紙はものすごく上から目線で、誰が書いたのかわからない。そして、僕たちの名前を知っているのも謎だし、どうやって僕たちをここまで運んだのかとか、謎が多すぎる。だから、こそこの手紙を信用していいのか、信用してはいけないのかの判断がしにくい。
「まあ、そういうことだからさ。一か月よろしくな」
琥珀は白い歯をちらつかせながら笑い、杏の頭を撫でる。その笑顔には杏を安心させる輝きがあった。その笑顔を僕は見たことがある。それは、誰かを安心させるために笑い誰かのための笑顔だった。その笑顔を奪ったやつを僕はずっと許せない。いっそのこと、死んでくれたらよかったのに。僕はあれから、ずっと生きている気がしない。心はどこかに行ってしまったようなずっとフワフワしている。
「じゃあ、部屋は早いもん勝ちな」
ニヤっと顔を歪ませ、小部屋につながる廊下へ走っていく。それを見た瑠璃が「ずるい。私も」そう言って追いかける。そのあと、「えっ、俺も決めてる部屋あるんだけど」と千草がそのあとを追いかける。リビングに残ったのは、やっぱりお決まりの三人だった。



