「おいッ、起きろって。起きろよ」
　遠くから声が聞こえてくる。だけど、その声は聞いたこともない他人の声。
「ん？」
　重い体で起き上がる。目を開くとガンガンと光を照り付けている太陽と目が合い、目を細める。
「おー、やっと起きた。で？全員で六人だな」
「そうだね。でも共通点が高校生って以外なにもないよね」
「まあ、全員起きたっぽいし、自己紹介しようよ」
　目の前には、ジッと見つめてくる五人の男女。今の会話からこの男女は全員高校生らしい。話についていけてない僕を放って置いたまま、話を進めていく五人の男女。いや、どちらかといえば、三人の男女か。残りの二人の片方は黙ったまま。もう一人は太陽を見上げている。
　というか、ここはどこなんだ？見渡す限り、建物というものがなく自然のど真ん中にいるようだ。さっきの高校生たちに見覚えはない。もう一度、彼女たちをジーと見つめる。だけど、やっぱり一度も会ったことがない人たちだ。
「んー、とりあえず、こっちに家があるらしいから行こうか」
　背が高い男に三人はついていく。だけど、さっきもボーとしていた女の二人は微動だにしない。この二人に声をかけてから、ついていくか。それとも、二人を置いてついていくか。僕の初めの印象が悪くなるぐらいなら、話しかけた方が絶対にいいはずだ。
「いかないのか？」
　これで一様声をかけた。聞こえなかろうが、聞こえていようが僕が声をかけたことには変わりない。声をかけ、先に行った彼らの後を追う僕の横を何の造作もないように通り過ぎていく。もう一人の女も頭をペコリを下げて、彼女についていく。
　僕も置いていかれないようにと自然に歩くスピードを上げていた。
「おせー、早く来いよ」
　森の中に入っていくとそこには、木の別荘で使われていそうな家がポツンと立っていた。その家は、木に囲まれ森の一部のように見えてくる。
「じゃあ、中に入ろうか」
家の中は天井が高く、窓も大きくここにいる六人で外の景色を見れるほどだった。
「あの、名前知らないの不便じゃない？」
「俺、琥珀(こはく)」
「俺は千草(ちぐさ)」
「私は瑠璃(るり)、よろしくね」
「千歳(ちとせ)」
「・・・」
　背が低い男が琥珀、背が高く大人っぽい男が千草。ずっと話していた女が瑠璃、先ほどまで空を見上げていたのが千歳。
「僕は、紺(こん)」
「あ、こいつは杏(あん)」
　背が小さくずっと俯いている女の名前を琥珀が、ふと思い出したように彼女へと視線をよこす。彼女は、困ったように眉を寄せながらも、口角をあげる。