「でさー、先輩がそのとき…」
ご飯を食べながら澪の話に耳を傾けていると、軽快な音楽が校内放送で流れた。
『こんにちは。お昼の放送の時間です』
放送部の子らしきしゃべり方で、そんな言葉が聞こえた。
うちの放送部は割と活発らしく、お昼の校内放送は聞きなれたものだった。
『今日は、今月末に控えた生徒会選挙に向け、立候補者にインタビューをしてみたいと思います。まず本日は生徒会長に立候補しているお二人のうち、二年一組の嶋田孝之さんにお話を伺おうと思います』
生徒会選挙、今月末か。なんて頭の隅で考えながら、放送をぼーっと聞き流す。
教室のみんなも友達と話しつつ、話半分に放送を聞いているようだった。
澪も何気なく放送を聞きつつおしゃべりを続ける。
「嶋田先輩かー、めっちゃ頭いいってウワサだよね」
「そうなの?」
「前回のテスト、四教科で学年最高点だってさ」
「逆に何落としたのか気になるね、それ」
学年が違うので残念ながら顔も知らない。
澪の言い方的に、校内ではまあまあの有名人なのかもしれない。
『みなさん、こんにちは。ご紹介にあずかりました嶋田孝之です』
低く落ち着いた声が、スピーカーから流れてきた。
生徒会選挙に大して興味もなかった私だったけど、耳なじみのいい声で思わず放送に耳を傾けた。
『私は、お恥ずかしながら他薦で生徒会長に立候補することになりました。というのも学校を背負って立つというのが私にできるのかと不安があったためです。そんな私がこの場に立っているのは…』
彼はそこから、なぜ立候補する気持ちになったのか、生徒会長としてどんな学校にしたいのか、そのためにどうするか、などを丁寧に話していった。
クラスメイトはみんなやはり話半分にそれを聞いていた様子だったけれど、私はやけに彼の言葉一つ一つが耳に残った。
「いやー、なんかこれ聞いてると嶋田先輩になりそうな気がする、生徒会長」
澪がもぐもぐと咀嚼しつつ、何の気なしに話す。
確かにこの演説を聞く限り、しっかりした人であることは手に取るように分かった。
私は澪の言葉にうなずく。
そもそも生徒会選挙なんて、みんなそこまで重く考えて投票しない。しっかり者が特に問題もなく一年間学校を運営してくれたらそれでいい。
『私は生徒会長として、同じ学生としてしかできない視点で、みなさんの学校生活をよりよくできたらと思っています。どうか一票を、よろしくお願いいたします』
彼の演説は、そうして閉じた。嶋田先輩にお礼を述べ、放送部の子が放送の続きを始めた。
音楽のコーナーにうつって、リクエストがあった流行りの音楽が流れだす。
「あ、そうだ、ていうかさー…」
そうして澪も、何事もなかったかのように話を始める。
「実は来週から月末の試合に向けて昼練が始まることになって…」
「え、大変だね」
「そう、でね、あの三週間くらいの間なんだけど…」
言いにくそうにちらっとこっちを見る澪。
「お昼一緒に食べれないって言うんでしょ、わかってるよ」
「うぅ、ごめん…」
「澪のせいじゃないし。誰か一緒に食べてくれる人見つけるから気にしないで」
私が笑ってそういうと、澪はほっと息をついた。
普段一緒に食べている子がいなくなるのは確かにキツイけど、こればかりはどうしようもない。入れそうなグループを思い浮かべつつ、最悪三週間くらいなら一人で食べてもいいか、と頭の隅で考えて、食べ終えた弁当を閉じた。
ご飯を食べながら澪の話に耳を傾けていると、軽快な音楽が校内放送で流れた。
『こんにちは。お昼の放送の時間です』
放送部の子らしきしゃべり方で、そんな言葉が聞こえた。
うちの放送部は割と活発らしく、お昼の校内放送は聞きなれたものだった。
『今日は、今月末に控えた生徒会選挙に向け、立候補者にインタビューをしてみたいと思います。まず本日は生徒会長に立候補しているお二人のうち、二年一組の嶋田孝之さんにお話を伺おうと思います』
生徒会選挙、今月末か。なんて頭の隅で考えながら、放送をぼーっと聞き流す。
教室のみんなも友達と話しつつ、話半分に放送を聞いているようだった。
澪も何気なく放送を聞きつつおしゃべりを続ける。
「嶋田先輩かー、めっちゃ頭いいってウワサだよね」
「そうなの?」
「前回のテスト、四教科で学年最高点だってさ」
「逆に何落としたのか気になるね、それ」
学年が違うので残念ながら顔も知らない。
澪の言い方的に、校内ではまあまあの有名人なのかもしれない。
『みなさん、こんにちは。ご紹介にあずかりました嶋田孝之です』
低く落ち着いた声が、スピーカーから流れてきた。
生徒会選挙に大して興味もなかった私だったけど、耳なじみのいい声で思わず放送に耳を傾けた。
『私は、お恥ずかしながら他薦で生徒会長に立候補することになりました。というのも学校を背負って立つというのが私にできるのかと不安があったためです。そんな私がこの場に立っているのは…』
彼はそこから、なぜ立候補する気持ちになったのか、生徒会長としてどんな学校にしたいのか、そのためにどうするか、などを丁寧に話していった。
クラスメイトはみんなやはり話半分にそれを聞いていた様子だったけれど、私はやけに彼の言葉一つ一つが耳に残った。
「いやー、なんかこれ聞いてると嶋田先輩になりそうな気がする、生徒会長」
澪がもぐもぐと咀嚼しつつ、何の気なしに話す。
確かにこの演説を聞く限り、しっかりした人であることは手に取るように分かった。
私は澪の言葉にうなずく。
そもそも生徒会選挙なんて、みんなそこまで重く考えて投票しない。しっかり者が特に問題もなく一年間学校を運営してくれたらそれでいい。
『私は生徒会長として、同じ学生としてしかできない視点で、みなさんの学校生活をよりよくできたらと思っています。どうか一票を、よろしくお願いいたします』
彼の演説は、そうして閉じた。嶋田先輩にお礼を述べ、放送部の子が放送の続きを始めた。
音楽のコーナーにうつって、リクエストがあった流行りの音楽が流れだす。
「あ、そうだ、ていうかさー…」
そうして澪も、何事もなかったかのように話を始める。
「実は来週から月末の試合に向けて昼練が始まることになって…」
「え、大変だね」
「そう、でね、あの三週間くらいの間なんだけど…」
言いにくそうにちらっとこっちを見る澪。
「お昼一緒に食べれないって言うんでしょ、わかってるよ」
「うぅ、ごめん…」
「澪のせいじゃないし。誰か一緒に食べてくれる人見つけるから気にしないで」
私が笑ってそういうと、澪はほっと息をついた。
普段一緒に食べている子がいなくなるのは確かにキツイけど、こればかりはどうしようもない。入れそうなグループを思い浮かべつつ、最悪三週間くらいなら一人で食べてもいいか、と頭の隅で考えて、食べ終えた弁当を閉じた。
