======== この物語はあくまでもフィクションです =========
 ============== 主な登場人物 ================
 物部満百合(まゆり)・・・物部一朗太と栞(しおり)の娘。
 久保田健太郎・・・久保田誠とあつこの息子。
 大文字おさむ・・・大文字伝子と学の息子。(欠席)
 福本めぐみ・・・福本英二と祥子の娘。
 依田悦子・・・依田俊介と慶子の娘。
 服部千香乃(ちかの)・・・服部源一郎とコウの娘。
 南原未玖(みく)・・・南原龍之介と文子(ふみこ)の娘。
 山城みどり・・・山城順と蘭の娘。
 愛宕悦司・・・愛宕寛治とみちるの息子。

 南出良(みなみでりょう)・・・転校生。千香乃と同じクラス。
 片山継男・・・一輪車大会で、悦子と争った。今はカレシ。悦子と婚約したばかりだが、頭が上がらない。

 藤堂所縁・・・小学校教師。ミラクル9顧問。
 鈴木栄太・・・諸学校校長。
 物部一朗太・・・喫茶店アテロゴのマスター。満百合の父。
 服部源一郎・・・千香乃の父。シンガーソングライターだったが、今は妻と音楽塾を開いている。

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 ==ミラクル9とは、大文字伝子達の子供達が作った、サークルのことである。==

 ※このエピソードは、現実にあった「人命救助」のお話を題材にしています。

 午後3時。服部家近く。
 未玖と千香乃は、千香乃が忘れ物をしたので、モール側の公園に行く前に立ち寄った。
 どこかのお婆さんが塀に寄りかかっている。
 「こんにちはー。」千香乃は声をかけた。
 「助けて下さい。家に連れて行って下さい。」か細い声で、おばあさんは言った。
 千香乃は、音楽塾をしている、自分の家に連れて行こうかと思ったが、尋ねてみた。
 「おばあさんのオウチは、どこ?」「この家の隣。」
 千香乃と未玖は、おばあさんに付き添って、家まで送り届けた。
 川上と表札にあった。
 未玖は、家の電話で119番にかけようとしたが、「待って。救急隊員に運んで貰ったら、私達しかいなくなってしまうわ。」と千香乃が制した。
 千香乃は電話機の側に、近親者の電話番号を書いてある、電話帳を見付けた。
 未玖は、横たわった、おばあさんを見守り、千香乃は、電話をかけた相手に事情を話し、すぐに来てくれ、と言い、改めて119番をした。
 5分後。救急隊員が駆けつけた。
 「家の人は?」「すぐにこちらに向かうそうです。」
 「そうか・・・君の電話番号を教えて。どこの病院に行くか教えるから、家の人が来たら、伝えて欲しい。出来るね。」
 「はい。ミ・・・あ、出来ます。」
 救急隊員から千香乃に電話があったのは、10分後だった。更に、15分後。娘さん夫婦がやってきた。
 千香乃は、救急隊員とのやりとりを話し、病院の名前と電話番号を書いたメモを渡した。
 「ありがとう。命の恩人ね。母は心臓の病気があるの。散歩の途中で発作が起きたのね。」
 娘さん夫婦は予備の鍵で施錠し、病院に行った。
 千香乃は家に帰って父親の源一郎に話してから、未玖とモール側の公園に向かった。
 午後4時半。喫茶店アテロゴ。
 ミラクル9は、サッカーを止め、未玖と千香乃を待っていた。
 2人がやってくると、皆は拍手した。
 「よくやったね、それで、おばあさんは助かったの?」と鈴木校長は尋ねた。
 「はい。回復したそうです。明日が通院日だったけど、薬が足りなくなって発作が起きたんだろうって、言ってました。薬を飲み忘れたと思って、『2回』飲んじゃった時があったそうです。検査も終り、薬は余分に貰ったそうです。」
 「成程ね。私も気をつけなくちゃな。2回飲んだことあったよ。どうもなかったのは、ラッキーなだけだよね。」
 「緊急連絡先の書いたもの、無駄と思っても持っていた方がいいかも、ね。」
 藤堂の意見に、「流石、藤堂先生。千香乃。後で、それ、連絡してあげなよ。」と健太郎が言った。
 物部達は、笑って見ている。
 「表彰されるよ、きっと。なあ。健太郎。」と、悦司は言った。
 「うん。啓発って言うの?人命救助に関わった人は警察が表彰して、『民間協力』をアピールすることになる。悪い事じゃない。」
 「命のバトンを渡したんだね、千香乃君は。命のバトンリレーの『第一走者』だ。」と鈴木が言い、皆が笑った。
 後日、本当に千香乃達は警察に表彰された。
 ―完―