======== この物語はあくまでもフィクションです =========
 ============== 主な登場人物 ================
 物部満百合(まゆり)・・・物部一朗太と栞(しおり)の娘。
 久保田健太郎・・・久保田誠とあつこの息子。
 大文字おさむ・・・大文字伝子と学の息子。
 福本めぐみ・・・福本英二と祥子の娘。
 依田悦子・・・依田俊介と慶子の娘。
 服部千香乃(ちかの)・・・服部源一郎とコウの娘。
 南原未玖(みく)・・・南原龍之介と文子(ふみこ)の娘。
 山城みどり・・・山城順と蘭の娘。
 愛宕悦司・・・愛宕寛治とみちるの息子。

 藤堂所縁(ゆかり)・・・健太郎の担任。ミラクル9の顧問。
 鈴木栄太・・・小学校校長。
 南出良(みなみでりょう)・・・転校生。千香乃と同じクラス。
 草薙あきら・・・元ホワイトハッカーで警視庁からEITOに出向していた職員だったが、今はアマチュア発明家をしている。
 片山継男・・・一輪車大会で、悦子と争った。今はカレシ。
 鈴木栄太・・・小学校校長。

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 ==ミラクル9とは、大文字伝子達の子供達が作った、サークルのことである。==
 ==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==

 午後3時半。モール近くの公園。
 「だからさ、今日は、『下半身が馬』じゃないのは、なんで?」
 「ああ・・・今、シャケンに出してるから。」健太郎は惚けた。
 「はあ?訳が分からないぞ。喧嘩売ってるのか?」相手は、拳を上げて怒りを見せた。
 「献花?誰か死んだの?」健太郎は更に惚けた。
 「はあ?お前、ケンカ知らないのか、けんかだよ。」相手は、益々激昂した。
 「だから、死んだ人を送る儀式でしょ。なあ、おさむ。」
 「あ、ああ。そうだね。この間も落語家の『軟弱』さんが亡くなったから、皆花をお供えに行ったよね。」おさむは、調子を合わせた。
 「そういう話じゃない、『ケンタロウス』なら、下半身が馬だろうって話だよ。」
 「ああ、それ、『ケンタウロス』だよね。」おさむは素早くスマホで『ケンタウロス』を検索し、画像を見せた。
 「ケンタウロス、好きなの?僕はマーメイドがいいな。」
 「勝負あったわね。良くん、前の学校で『イジメ』に合ってたんだね。」と、みどりが言った。
 皆は、驚いてみどりを見た。
 「ウチのクラスから、お父さんの転勤の関係で、良くんがいた村雨小学校に転校した子がいるの。千香乃に、誰彼構わず喧嘩売ってる子がいるって聞いたから、調べたんだ。」
 「良くん、転校生って舐められやすい、だから、自分から・・・って思ったのね。」と、千香乃が言った。
 「私たちはイジメないよ。『仲良しクラブ』みたいなもんだから。『ミラクル9』って言うの。」
 「僕を10人目に?」初めて転校生の目が変わった。
 「ミラクル9って、人数のことじゃないみたいだよ。」と、継男が来て言った。
 「僕は、隣の小学校だけど、悦子ちゃんのグループに入れて貰ってる。無理するなよ。」
 「よく出来ました。健太郎君、おさむ君、悦司君、悦子くん、千香乃くん、みどりくん、未玖くん、めぐみくん、満百合くん、それに継男くんに良くん。みんなに100点あげまーす。」
 現れたのは、ミラクル9の顧問を名乗る、藤堂所縁先生だった。
 「さあ、『自己紹介』終ったところで、野球やろう!!」
 藤堂は一番に駈け出した。
 良は、継男と悦司に肩を組まれ、無理矢理連れて行かれた。
 ベンチで新聞を読んでいた紳士と、本を読んでいた男が読むふりを止めた。
 「自由ですね、校長先生。」と草薙が言うと、「皆に泣き顔を作らせない、が藤堂先生のモットーだからね。」と校長は応えた。
 「よく立ち直ったよ。妹が目の前で轢き殺されたからね。一時『引きこもり』だったらしい。立ち直らせたのは、おさむ君の母親達じゃない。義理の父の西部警部補だった。進路を教職にしたいと私に言って来たときは驚いたよ。それまで面識無かったからね。きっと反対しない人材を選んだんだね、ありがとうございます、草薙さん。私を推薦してくれて。」
 「それは違いますよ、校長先生。おさむ君の父親の大文字学氏ですよ。」
 「そうだったの?」「まあ、結果オーライで良いじゃないですか。コーヒーでも飲んで行きますか、アテロゴで。」「いいですね。」
 歓声を聞きながら、2人はモールに向かった。
 ―完―