======== この物語はあくまでもフィクションです =========
 ============== 主な登場人物 ================
 物部満百合(まゆり)・・・物部一朗太と栞(しおり)の娘。
 久保田健太郎・・・久保田誠とあつこの息子。
 大文字おさむ・・・大文字伝子と学の息子。
 福本めぐみ・・・福本英二と祥子の娘。
 依田悦子・・・依田俊介と慶子の娘。
 服部千香乃(ちかの)・・・服部源一郎とコウの娘。
 南原未玖(みく)・・・南原龍之介と文子(ふみこ)の娘。
 山城みどり・・・山城順と蘭の娘。
 愛宕悦司・・・愛宕寛治とみちるの息子。

 物部栞・・・満百合の母。ペンネームは『美作(みまさか)あゆみ』。
 池上葉子・・・池上病院院長。
 佐幸俊子・・・満百合の担任。
 大文字学・・・おさむの父。

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 ==ミラクル9とは、大文字伝子達の子供達が作った、サークルのことである。==
 ==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==

 午後3時。モール外の公園のベンチ。
 「だから、また貸ししちゃダメって言ったのに。」未玖は、満百合を責めた。
 「確かに、満百合は軽率だった。でも、取り戻すことを考えようよ。」と、悦子は言った。
 「名前が似てるだけじゃないんだね、悦子。僕も同感だな。」と、悦司は言った。
 「名前は似てないけど、僕も同じ考えだな。満百合、話して。皆で探そう。」と、おさむは言った。
 「同感だ。」と、健太郎が近づいて来て言った。
 「私達もよ。満百合。」みどりと千香乃が言った。
 「ここには、仲間しかいない。違う?」とめぐみは言った。
 昨日、今度転校して来た、厳原(いずはら)のん、って子が私の読んでいる本を覗き込んで言ったんだ。『これ、図書館で読んだ本だ。明日までに返すから、ちょっと貸して。』って。私がいい、って言ってないのに。」
 満百合の話に、「何てタイトルの本?」って健太郎は尋ねた。
 「『ラッキーなこおろぎ。』って本。未玖ちゃんから借りてた本。」「体裁のいいかっぱらい、ひったくりだな。」健太郎の言葉に、「窃盗罪だな。」と、悦司が言った。
 2人とも親が警察官だ。犯罪には敏感だ。
 「転校してきた、って満百合のクラスだよね。今日は、会わなかったの?」と、おさむが言った。
 「今日、休んでいるの?それで、未玖ちゃんに『どこまで読んだ?』って聞かれて。」
 満百合は、泣き出した。
 「泣かなくていいよ。お休みって、風邪?担任の先生に家を聞いて、『皆でお見舞い』に行こうよ。」と。おさむが提案した。
 「よし、そうしよう。担任の先生の電話番号は?」満百合は、スマホのプロテクトと電話番号のプロテクトを外した満百合が、皆に番号を見せてから、電話をかけた。
 「分かったわ。先生がオウチに電話して確認してみる。会える状態なら、皆でお見舞いに行って。但し、結果は報告してね、満百合ちゃん。」
 担任の佐幸先生は、気軽に返事をしてくれた。スピーカーをオンにしていたので、皆は聞いていた。
 30分ほど経って、佐幸先生から電話があった。
 「満百合ちゃん。のんちゃんは、交通事故に遭ったわ。繋がらないなあ、と思っていたら、警察の人が出たの。池上病院よ。」
 午後4時半。池上病院。のんの病室。
 看護師が、窓を開けた。
 「ごめんなさい、満百合ちゃん。シオリに宝くじ挟んであったから、返そうと思って走ったら、撥ねられちゃった。運転手さんは悪くないよって、今お巡りさんに言ってたの。」
 そこへ、池上院長、担任の佐幸先生、おさむの父親である高遠学、満百合の母親である栞がやって来た。
 「打撲したけど、大丈夫。骨折までには至ってないわ。」と池上院長は言った。
 「未玖ちゃん、満百合。のんちゃんにあげるわ、その本。」
 2人が驚いていると、学が説明した。「その本は、新装丁で再販されたけど、昔、満百合ちゃんのお母さんが書いた童話だよ。ペンネームは、美作(みまさか)あゆみ。実は、僕が名付け親。AYUMIをアナグラムで置き換えて、MAYUI。語呂が悪いから、満百合にした。」
 「あなたが産まれるずっと前。盗作騒ぎで裁判になった。結局、勝ったけど、その『お話』は、イヤな事思い出しちゃうから、満百合の読み聞かせには使わなかった。ごめんなさい。」と、栞は満百合に頭を下げた。
 「編集長が言ってた。きっと、お母さんに負けない童話作家になるって。」と、学は笑った。
 佐幸先生も、話を付け加えた。「その童話を学校に寄付してくれたのが、大文字先生よ。娘も、知らず知らずファンになっていたなんて、凄いわ。」
 のんの母親が、「それで、この宝くじは・・・大事なものなのね。」と、未玖に尋ねた。
 「初めて買って貰った、宝くじ。当たってるかどうかなんて関係無い。戻って来た。」
 「健太郎君。お友達が、また増えたね。」「はい。」
 健太郎は、池上院長に元気よく応えた。
 ―完―