認められたい、認められない、認められたい。
 私のなかで、承認欲求が暴走する。
 ねえ、私のこと、好きなんでしょ?
 これだけ、努力してるから、認めてよ。
 ねえ、私のこと、もっと、しっかりと肯定してよ。
 私は史上最高のアイドルになる人間なんだから。

 





 
 コンパクトミラーの中で今日も私の金色のボブが白色LEDの光で、かすかに輝いている。
 配信開始まで、10分前の私は今日も最高にかわいい。かわいい。かわいい。
 私は右手で、右頬の細い毛先に触れ、内側にさっと癖づけたあと、左手に持っているコンパクトミラーを白い机の上に置いた。そして、椅子をひき、席を立った。
 すっと息を吐いたあと、右奥の部屋の隅まで移動した。
 
 白い机、白いベッド、白いカーペット。
 白系統を意識した部屋は映えているってよく褒められる。だけど、最近のライブ配信では、部屋のすみに座って、白い壁と私だけが映るような画角でライブ配信をしている。結局、片付けなんてそもそもあまり得意じゃないけど、やっぱり人様の前に出ることしているからって、ライブを始めた当初は、頑張って、部屋を綺麗に維持していた。
 だけど、元来の性格なんて治らなくて、次第に部屋が散らかり始めた。
 だったら、画角を最小限にすればいいじゃんって考えに至って、今は、部屋のすみっこのメルちゃんになることにした。
 だから、自分の部屋のすみの壁をいつもの配信場所にしている。
 配信場所にしている部屋のすみに移動し、壁にもたれかかりながら、ゆっくりと座った。
 そして、一瞬の静寂が、冷たい寂しさに思えた。18年生きてきた中で、いまだに私の卑屈さは、治らない。
 人なんて、所詮、三つ子の魂百までなのかもしれない。
 
 もう、何度目かの配信なんてわからない。わからないけど、ただ、ひとつ言えることは、私が平日21時にライブ配信を始めても、数千人はリアタイしてくれるっていう事実がある。それが今の私の生きがいになっているし、私は、多くの人たちに愛される権利が余裕である。
 
 16歳までの私。
 新山萌香(にいやまもえか)の人生の中では、そんな輝いた一瞬なんてなかった。
 そんな私、新山萌香の人生が微かに輝き始めたのは、高校二年生の夏のことだった。
 SNSでアイドルグループ募集のポストをたまたま見つけた。千葉県船橋市が地元の私にとて、秋葉原の劇場に出ることは容易なことのように思えた。
 アイドル願望なんてあまりなかった。だけど、アイドルになって、踊っている自分を想像すると、楽しいなって、ふと思った。
 気がつくと、スマホ上で私は応募フォームを入力し、一番、映えていた、一番自信がある自撮りを添付し『応募が完了しました』のメッセージが画面に表示されていた。
 
 そして、面接も難なくクリアーして、私は、新しく誕生した、5人組のアイドルグループ『愛L!ke☆Lass(あいらいくらす)』の中メンバーになった。今はまだ、地下で月に一回のライブをするくらいだけど、客入りは上々で、もう少ししたら、箱を大きくするって、先週、プロデューサーに言われた。
 
 さて、今日も私はメルだ。
 最高にかわいいメルちゃんだ。
 みんなに愛されて、ギフトをたくさんもらえるメルちゃんだ。
 
 今日の配信も見てくれたらいいな。
 理久(りく)くんも。
 
 
 

 

「みんなありがとう。じゃあね。あ、金色マッチョさんもありがとー。トマソンさんもありがとう。今日もありがと、ありがと。メラメリはべる。いまメルル。メルでした! 明日も待ってるよー あ、今週末の愛L!ke☆Lassのライブもよろしくね。いつものダイロク劇場で待ってるからー。じゃあね」
 右手の人差し指で、赤いRECボタンを押すと、配信が止まった。
 
 はい、完璧でした。
 はい、完了しました。
 はい、お疲れ様でした。

 理久くんもきっと、私のライブをこっそり見てくれたと思う。同じアイドルライバーとして、お互いに切磋琢磨しているんだ。こないだだって、理久くんは、私のライブ、チェックしたって言ってたし、ちゃっかり、私のライブ内で、コメント残したりして、よく私のことをもて遊んでくる。
 だけど、理久くんも、アイドルだし、私だってアイドルだから、このふたりの関係は、秘密のまま、オフィシャルに堂々と会えない、つらい恋をお互いに続けている。だけど、私と理久くんは、秘密を作ってまでも、お互いの気持ちを無視することができずに、私と理久くんは、付き合い始めた。ただ、最近は会えない日々が続いている。それはそうだよね。お互いにアイドルであり、ライバーでもあるふたりの恋は不特定多数のスパイに監視されているような恋だから、そう簡単に上手くなんていかないよね。
 そんなのは、わかっている。だから、今、しっかり、アイドルもやって、ライバーもやって、FIREできるくらいお金貯めて、アーリーリタイアして、ふたりの暮らしをするのが、今の些細な夢なんだ。引かれるかと思って、その構想を理久くんには、まだ言ったことない。そして、ライバーとしては、まだ、中堅どころで、全然、アカウントも大きくないし、他のトップライバーと比べても、全然、ランクなんて低いから、まずは、理想なんて語らないで、現実問題、ランクしっかり上げろよって感じだけどね。

 そんなことを考えながら、私はスマホの画面をタップして、ギフトの金額を確認した。
 7,3500 pt
 1pt。1円で換金できる。私の同時接続者数なんて、1000もいかない。だけど、いろんな人たちが、私にギフトを送ってくれる。
 正直、他のメンバーよりも、稼げていると思う。だから、メンバーもライブ配信やればいいのにって、いつも言うけど、えーいいよ。やらないよ。怖いし、って言う子がほとんどで、結局、こうして、SNSでライブ配信しているのは私だけだ。
 そのせいで、メンバーの中でもちょっと私は浮いているような気がする。私を含めて、5人のメンバーのうち、2人はバイトと掛け持ちをしていて、2人は学生をしている。つまり、私だけ、ライブ配信で生計を立てていると言うことになる。
 それがあまり面白くないらしい。
 ライブ配信と合わせて、SNSでショート動画を上げたりもしている。それも、上手くいき、いまのフォロワーは2万人をこえた。
 2本目の動画でいきなりフォロワーが1万人をこえた。だから、動画でも収益化できている。
 だけど、メインの収益はライブ配信で、これだけで、船橋市内で、一人暮らしをすることができている。結局、高校を卒業しても、私は船橋を離れずに、一人暮らしを始めた。
 
 今のアパートは新築で防音設備もしっかりしてる。高校生の時は、まだ、ライブ配信は、規約的にできないらしいから、動画でしか稼いでなかった。だけど、100万回再生を何度も何度も連発しているうちに、しっかりとしたお金が入った。だから、高校を卒業するときには、そこそこの貯金額があった。だから、その貯金額を使って、防音の新築物件の部屋を借りることができた。
 最初の頃、メンバーを呼んで、朝まで鍋パしたり、ゲームしたりもした。
 だけど、最近はそんなこともしなくなった。その理由は、グループとして活動を始めて、3周年が近くなっても、グループはまだ地下に潜ったままで、個々で焦り始めているからだと私は思う。
 
 そんなことを考えながら、私はスタンドからスマホを手に取った。そして、撮影用の照明を消し、ベッドへ向かった。撮影用の照明を消すと、部屋はシーリングライトの暖色に一気に変わった。ベッドの上に一度、スマホを置いて、ベッドの上に置いたままのバッグと、脱いでそのまま乱雑に置いていたトレンチコートを手に取った。そして、それぞれをフローリングに置き、ベッドに寝転がった。照明で電球色でオレンジかかった部屋の天井は、戦い終わった私のことを励ましてくれているみたいだって思った。そう思いながら、スマホを手に取ると、通知が入っていた。
 だから、私はその通知をタップし、操作をすると、私の彼氏である理久くんに繋がった。

『お疲れ。今日もよかったよ』
「ありがとう。いつも理久くんがこうして、私のこと、見守ってくれているからだよ」
『そんなことないよ。こう見えて、俺、心配性で繊細だからさ。気になっちゃうんだよね』
「ねえ、今日もお金稼いで偉いでしょ。私」
『あー、そうだね。確かに生活のためには必要なことだから、頑張ってるよな』
「そうでしょ。――ねえ、今日も名前呼んでほしいな。決め台詞も込みで」 
『いいよ、萌香。俺だけのものだよ。幸せにする』
「あー、最高なんだけど。ありがとう」
 そう返すと、私って、今日一日、マジでしっかりやったなって思った。今日は週二回あるグループの稽古日だった。前日まで、何度も部屋の姿見の前で、練習し続けた振り付けも他の4人より、私が一番踊れていた気がする。実際、プロデューサーに褒められたのは私だけだった。

「自分勝手だけど、今日、ものすごく疲れたから、もう寝るね。今日も、愛してるよ。また明日ね」
『そうなんだ。おやすみ。またね』
 理久くんの優しい声を聞いたあと、私はそっと、スマホを操作して、理久くんとの今日の定時連絡を終わらせた。付き合うのって、大変だよね。ましてや、アイドルって恋愛禁止だから、いつもバレないかってヒヤヒヤしちゃう。だって、だって、そんな禁断を犯しても、理久くんと私は、ずっきゅんな運命で繋がっていたんだ。お互いにやりとりをし始めて、お互いの身分を隠して、コラボライブだってやった。
 理久くんも、きっとあのとき、ハラハラしていたと思う。それが顔に出ていて、緊張した面持ちだったよね。それが面白くて、私はなぜかすごい爆笑しちゃって、それがリスナーたちにハマっちゃったみたいで、いつも以上に盛り上がって、いつも以上にギフトが集まった。そのライブが終わったあと、理久くんは、
『予想以上に盛り上がっちゃったね。よくわからないけど、付き合ってる感出てたね。ありがとう』って、画面越しに笑ってくれた。

 スマホの右端を見ると、スマホのバッテリーは死にそうになっていた。練習で死にそうなのは、私の方だよ。とか、スマホ視点で考えると、何言ってるんだこいつってことを思いながら、ベッドサイドのローテーブルの方にローリングし、USB C端子をスマホに優しく接続した。するとスマホは息を吹き返したように、ロック画面を表示した。もちろん、ロック画面は、理久くんで、理久くんは優しく微笑んでいた。
 アイドル道を突き進む私にとって、優しさとは無縁の生活を送っている。今日だって、新曲を含むステージがあと4日に迫っているから、稽古がいつもより、しんどかった。プロデューサーの前川さんは、私以外のメンバー4人に喝を入れていた。そう、私は新曲のダンスを完璧に仕上げた。そして、自分のソロパートのところも、しっかりと歌い込むことができるように、連日、防音のこの部屋でしっかり歌い込んだ。
 知名度はまだ、底辺でも、プロなんだから、それくらいして当たり前だと思う。
 
「本気度がメル以外の4人に感じられない」
「はい!」
「なんだろう。慣れてる人は、僕の理想の中にはいらないんだよね」
「はい」
「そもそも、稽古って最終確認の場所なんだよね。わかる? だから、稽古で練習するんじゃなくて、個々が練習してきたものを合わせる場所なの。それがプロだと思わない? メル以外のメンバーはそれができてない」
「はい」
「ユリはどう思う?」
「すみません。練習します」
「すみませんって、謝るくらいなら、しっかり準備しよう。もう3年目なんだから。プロの自覚がないよ」
「……はい」
 ユリがうつむきながら、そうプロデューサーに返事した光景を思い出した。いつも、『すみません』と誤り癖があるユリを見ていると、たまにイライラしてしまうことがある。今日も、自主練さえしっかりしていたら、問題ないはずだったのに、ユリは、どうしてか、いつもそれができない。それなのに、練習が終わったあと、ヘラヘラしているから、それが余計に腹が立った。
 ま、私も頭がいいから、そんなこと、死んでも口には出さないつもりだ。

 そう、ユリ以外も、ネネ、ミナも、多かれ少なかれ、ユリみたいな、プロ意識が低いところが垣間見れる時がある。唯一、意識が高いのは、このグループのエースであり、リーダーのアイだけだった。アイは、最初から、プロデューサーや他のスタッフに贔屓(ひいき)されている。このグループ、『愛L!ke☆Lass』になったのも、元々『L!ke☆Lass』だけだったみたいだけど、プロデューサーが、『愛』をつけようとか、急に言いだしたらしい。
 たぶん、アイが中心になることをオーディションで見抜いていたんだと思う。だから、私はいつも、このグループでは二番手扱いだ。アイは私よりかわいいし、ダンスも歌も両方とも上手い。いつも、もし、アイがいなかったらって思うこともあるけど、そんなこと考えても、仕方ないことだから、私はアイを越せるようにと、自分磨きをすることにした。

 だから、このグループでストイックに練習に取り組んでいるのは、私と、アイだけで、ほかの3人はやっぱりプロ意識が低いところがある。そんな感じがしてしまう些細な態度を見たり、言い訳を聞いたり、稽古が終わったあと、ヘラヘラしているところを見ると、イラつく。
 今日だってそうだ。稽古が終わり、メンバーで着替えているときに、私の隣にいたミナが私にこう言った。
「いいよね。ライブ配信で稼げると自主練もしやすいよね」
 そう言われて、イラっとしたけど、私はそれを我慢して、ミナに寄り添い、優しいふりして、私はこう返した。
「だけど、不安定だよ。ギフトもらえるのだってそのとき次第だから、常にスレスレみたいなものだよ」
「そっか。それでも、やっぱり時間があるのは羨ましいよ」
「そしたら、ミナもやりなよ。ライバー」
「嫌だよ。ただでさえ、夜、後ろつけまわされたりして、怖い思いしたから、特定とかのリスク考えると怖すぎる」
「そっか。バイトの時間合えば、うちで練習しなよ。防音だから」
 そう、親切心風を装って、返すと、ムッとしたのか、ミナはそれ以上、私に何も言わないで、この話は終わった。そう、時間を作り出すには、自分でどうにかしなくちゃいけないんだよ。って続けて言いたくもなるなって思った。だって、それって、自分でできる可能性を放棄して、苦しい、自主練できないって言っているようなものと同じじゃん。私たち、チェキの販売だけじゃ生きていけないんだよ。だから、私はライバーをやることにした。だって、アイドルって肩書きを手に入れたんだから、それを最大限使わないでどうするの? ほかのメンバーが、ほかのことで時間を使っている間、私は、ライバーになって生計を立てることに成功したよ。アイドルっていう最高の肩書きと、自分のルックスを使って、防音完備の物件に住むことだってきたんだよ? あなたたちが、嘆いて、何もしていない間に。
 おやすみ、今日。また明日。いつの間にか、目をつぶっていた。一瞬、寝落ちしそうになった。だけど、寝る準備しなくちゃって、無意識下で自分に呼びかけ、クタクタで重くなった身体を起こした。






 また、夢を追う朝が来て、今日も一日始まった。いつまで、中途半端なアイドルとして活動が続くんだろうって思うと、一気に私の人生なんて所詮、きらびやかじゃないよねっていう虚しさが頭のなかを一気に占めた。いくらチェキを撮っても、細々した出演を繰り返しても、私たち、アイドルとしてのお金なんて、チロルチョコ数千個分もないんだよ。だから、みんな警備のバイトしたり、タイミーに出たり、マッククルーになったり、そんなことをやっているけど、私たちはアイドルだよ?

 どうして、アイドルだけで生活できる人はたくさんいるのに、私は未だに中途半端なんだろう。
 てか、現状、アイドルっていうより、ライバーだから、そう思うのかもしれない。ライバーの収入に対して、アイドルの収入は10%も満たない。
 どうして、ほかのメンバーは現状打破をしようとしないんだろう――。
 今日は火曜日。新曲発表のライブまであと5日。

 部屋に戻り、白いカーテンを開けると、春の黄色くて眩しい陽射しが、一気に部屋の大理石風の白いフロアタイルをキラキラさせた。
 まだ疲れが取れていない身体をもう少し休めようと思い、再びベッドに寝転んだ。そして、スマホを操作し、耳元にあてた。

『おはよう』
「おはよう。理久くん。今日も朝からありがとう」
『いいよ。よし、今日もしっかりやっていこうか。今日はさ、来月に向けて練習してくるよ』
「あー、新曲の練習って大変だよね。私もだよ。昨日も私のこと、頑張ってるって言ってくれてありがとう。昨日は自分のことで精一杯だったけど、理久くんだって頑張ってたのに、言ってあげなくてごめんね」
『マジ、それなだけど、いいよ、いいよ。どんな人たちも、朝は憂鬱だからね。それに、俺の頑張りなんて、世間に比べたら、ミジンコみたいなものだよ。ホントに』
「そんなことないよ。自分を蔑むようなこと、言わないでよ」
『まあ、今が勝負どころだよねって気がするんだ。あ、そうだ。近いうちに話したいことある』
「え、なに? どうしたの?」
『あ、ごめん。もう時間だわ。そろそろ』
「そっか。いいよ。近いうちに話してくれるんだね。ちょうど私もルーティンはじめる時間だからいいよ。とりあえず、練習15時からだから、今日も腹筋するね」
『ありがとう。じゃあまた夜ね』
「うん」
 返事をすると、一気に活力が湧いてきた。やっぱり、私の彼、理久くんは私にとって、最高のビタミン剤だ。

 人は、属する場所によって、開花したり、腐ったりしたりするって言われているけど、私はどちらかというと、今のグループのなかでは、開花している側の人間だと思う。
 理久くんは、私よりも開花していて、これは私が毎日、理久くんから話を聞いてこその推測だけど、もしかすると、そろそろ地下を抜けることができるような気さえする。たぶん、話したいことって、改まってたから、そういう感じかもしれない。一方、私は長いトンネルの中だ。いいよねって、思うし、嫉妬するし、悔しいけど、応援してるよ。だって、それが彼女の役割だから。

 そんなことを考えながら、ベッドから起き上がった。ものが散らかり気味で足の踏み場が少ない大理石風タイルの上を歩き、唯一、大理石風タイルの白が出ている部屋のすみの撮影スペースにたどり着いた。そして、そこに仰向けに寝転び、ゆっくりと、腹筋のインナーマッスルに負荷をかけるように、筋トレをはじめた。踊りながら、歌い続ける力を身につけるためには、インナーマッスルは重要だって、なにかの動画を観て知ってから、私はトレーニングをしている。
 そう、ほかのメンバー。いや、ほかのアイドルにも負けないようにするために。ダメな自分が認められるには、こうするしかないんだ。
 それに、頑張ってる私のことを、理久くんに褒めてほしい。理久くんの理想の彼女を目指すために、私はトップアイドルになるんだ。
 だから、どの人よりも、影で努力しまくってやる。今の私はダメだから。
 かわいい私はライバーじゃなくて、どんな人にも憧れられるアイドルになりたいんだ。日本一有名なアイドルになるんだ。歌も上手くて、ダンスも上手くて、史上最高のアイドルになるために。
 
 私は、あんな生ぬるい奴らと一緒に地下に留まる人間じゃないんだ。私は。





 黄色い帯の総武緩行線に50分乗り、今日の練習場所がある新宿まで出た。人混みのなかをスタスタと、歩き、昨日も行った貸しスタジオまで歩いている。今日も着替えやすいように、ワンピースをまとった。その上にトレンチコートを羽織っている。いつものリュックには、練習場所で着る黒いジャージと黒いTシャツが入っている。みんなは昨日の今日で、練習できたのかな。
 そんな疑問を抱きながら、貸しスタジオが入っているビルの出入り口のガラス扉をゆっくり開けた。

 スタジオに入るとすでに、他の4人が居た。
「おはようございます」
「おはよー。メルちゃん遅いよ」とメンバーのなかで一番どんくさいネネに言われたから、イラッとした。
「えー、10分前についたのにー」
 冗談っぽくなるような、自分でもアイドルだなって思う声のトーンで返すと、4人は、あははと言って、笑った。それを聞きながら、4人が座っている入口から見て向かい側の壁側まで歩いた。そして、リュックを下ろし、トレンチコートを脱ぎ、それをささっと丸めて、リュックの横に置いた。

「昨日、4人で居残りしてたじゃん。だけど、昨日の居残りでも、練習足りないよねってなって、私たち、3時間早く集まることにしたんだ」
 得意げにミナが誇らしげな表情でそう言った。昨日、私は確かに居残りを断った。ライブ配信があるのと、昨日の練習では、私は、エースのアイよりも動けていたし、指摘されたところもなかったから、居残りしないことにした。
「メルちゃん、ビビると思うよ。昨日と、今日でだいぶよくなったから」と笑みを浮かべて、アイがミナに続けてそう言った。ミナには、一定の悪意を感じたけど、このグループの絶対的エースのアイにはその悪意は感じなかった。おそらくというか、いつものことだけど、アイは面倒見がいいから、こういうときは、みんなに率先して、教える行動を取っている。チーム最年長の20歳ってこともあって、リーダーでもあるからかもしれないけど、できない残りの3人や、過去に脱退した2人の面倒をなぜかしっかりと見るタイプの人間だ。
「へえ、楽しみなんだけど」
 ヘラヘラした感じで返したけど、本当は微塵にも楽しみになんかしていない。そんなことより、さっさと振り付けをしっかり覚えて、歌詞もいい加減、覚えろよって心のなかで、続けて言った。
「メルちゃんが配信してる間に、私たち、頑張ったから。メルちゃんがいなくても、頑張れたよ」
 昨日は怒られてあんなに、しょんぼりしていたのに、ユリは誇らしげにそう言ってのけた。私だって、アイドル活動の一環として、練習後、ヘトヘトになりながら、ライブ配信やってるんだよ。プロ意識持って。なのに、趣味と同系列みたいに語られるのが腹立つんだけど。ユリは下手が売りで、成長していくところをファンに見せるのが売りのキャラでやってる癖に。

「おはよう」と後ろのほうから、前川プロデューサーの声がしたから、みんな一斉に、その方を振り返った。
「おはようございます! よろしくお願いします!」とほぼ、みんな揃って、プロデューサーに挨拶すると、プロデューサーは満足そうな笑みを浮かべながら、右手をすっとあげ、まあまあといういつものジェスチャーをした。
「そうだ、先に話したいことがあるから、集まって」
 続けてプロデューサーが言ったから、みんな駆け足でプロデューサーの前に集まった。

「あのー。昨日、考えたんだけどさ。このグループのアカウントで、ライブ配信をもっとしっかりやってもらうかなって思ったんだ。アカウントのフォロワー、ようやく1000人越えたから。それで、アイに本垢でライブをやってもらうと思ってるんだ。アイ、やってもらってもいいか?」
「わかりました。大丈夫です、やりまーす」
 アイは軽いトーンでそうプロデューサーに返した。だけど、私は一気に頭のなかで混乱しはじめた。なんでアイなんだろう。アイは個人アカウントを持ってないし、絶対にライブ配信なんて不慣れなはずだ。それになんで、アイ一人だけなんだろう。私の方が、ライブ慣れしてるし、このグループのなかでの適任者なんて私しかいないじゃん。しかも、私のアカウントは2万人もフォロワーがいて、このグループのアカウントより、誰がどうみても、大きいアカウント持ってるのに。

「最初、しばらくのうちはアイにライブ配信してもらおうって思ってる。それでたまに、メンバーのもう一人に出てもらって、2、3人くらいで、ゆるいトークとか、おじさん喜ばせるような話、なんでもいいからしてもらう感じにしようかな」
 え、まず、私に触れるべきじゃないの? 2万人のフォロワーでライブ配信してるのに。どうして触れないの? 知らないわけないでしょ。だって、プロデューサーにだって許可を得て、ライバーはじめたんだから。そもそも、メンバーのなかでまともにSNSでフォロワーがいるのは私だけだよ? 私の発信でお客さんだって呼べてるんだよ? なのに、なんでアイなの? なんで私じゃないの?

「そのうち、契約書変更して、準備するけど、このアカウントのライブ配信の収入は、できるだけ、みんなに還元しようと思ってる。みんな頑張ってるから、少しでも還元できたらって思ってるから。もちろん出演したメンバーはそのときの実績で還元するから」
 そんなのどうでもいいんだよ。どうせ、私になんて力がないと思ってるんでしょ。どうせ、チームの顔はアイで、私は所詮、二番手の一メンバーに過ぎないんでしょ。私なんて、このチームでは空気なんだ。いらない存在なんだ。こんなに適正者がいるのに、私のこと指名しないで、アイを指名するんだ。最低だよね。知ってて、そういうことやるんだから。本当に悪意しか感じないんだけど。こんなに頑張ってるのに。

「あと、個人でやる分は今まで通り、個人管理でやろうと思ってるからそこは安心してほしい。個人のほうまでこっちがマージンとるとか、そういうことは、うちではしない方針だから。ということで、報告は以上でーす。メルが着替えてない以外は、準備オッケーな感じ?」
 プロデューサーと目が合った。プロデューサーはニコニコと笑みを浮かべていたから、私はなにも言えないなって思った。だから、自分のもやもやした気持ちを押し殺して、
「すみません、今、着替えてきます」と言って、スタスタとリュックのほうに歩き始めた。





 
 
 コンパクトミラーの中で今日も私の金色のボブが白色LEDの光で、かすかに輝いている。
 配信開始まで、3分前の私は今日も最高にかわいい。かわいい。かわいい。
 私は右手で、右頬の細い毛先に触れ、内側にさっと癖づけたあと、左手に持っているコンパクトミラーを白い机の上に置いた。そして、椅子をひき、席を立った。
 すっと息を吐いたあと、右奥の部屋の隅まで移動した。

 今日も練習後にライブ配信をするのは、正直、疲れ切っててやりたくない。だけど、やらなければ、私の今の生活を維持することはできないから、どんなに忙しいときでも、私はライブ配信をする。だって、私は、最高のアイドルにならなくちゃいけないから。
 連日の練習で、両足は筋肉痛だし、全身がだるい。今日はそのことを、話そうかな。そんなことを思いながら、スマホのアプリを起動し、ライブ配信がいつでもできるようにした。そして、三脚にスマホを固定した。
 
『俺の頑張りなんて、世間に比べたら、ミジンコみたいなものだよ。ホントに』
 朝、理久くんが話していたことをふと思い出した。理久くんの頑張りはミジンコじゃないよ。だけど、今日の練習でわかったことはね、私はさほどプロデューサーや、メンバーに必要とされていないということだよ。私の頑張りなんて、ミジンコみたいなものなんだよ。きっと。
 そんなことを考えながら、私は照明スタンドのスイッチを入れた。すると、あたりは一気にLEDの白色で、眩しくなった。
 今日も最高にかわいい。かわいい。かわいい。
 予定している時間より少しだけ早いけど、私は配信開始ボタンを押した。そして、
「あ、入ったかな。みんないる?」とメルちゃんボイスで、かわいくみんなに聞いてみた。私の気持ちを殺して。だって、私はプロのアイドルだから。




 

「みんなありがとう。じゃあね。よぴよしピンクさんもありがとー。拙者カレーサムライスさんもありがとう。今日もありがと、ありがと。メラメリはべる。いまメルル。メルでした! 明日も待ってるよー あ、今週末の愛L!ke☆Lassのライブもよろしくね。いつものダイロク劇場で待ってるからー。じゃあね」
 右手の人差し指で、赤いRECボタンを押すと、配信が止まった。
 
 はい、完璧でした。
 はい、完了しました。
 はい、お疲れ様でした。

 スマホの画面をタップして、ギフトの金額を確認した。
 1,0050 pt
 え、なにかのバグじゃない? って一瞬思うくらい、最近にしては、最悪の金額だった。
 今日はなにもかも上手くいかない。最悪じゃん。なんなのこれ。そんなことを思いながら、私はスタンドからスマホを手に取った。そして、撮影用の照明を消し、ベッドへ向かった。撮影用の照明を消すと、部屋はシーリングライトの暖色に一気に変わった。ベッドの上に一度、スマホを置いて、ベッドの上に置いたままのバッグと、脱いでそのまま乱雑に置いていたトレンチコートを手に取った。そして、それぞれをフローリングに置き、ベッドに寝転がった。照明で電球色でオレンジかかった部屋の天井は、戦い終わった私のことを呪っているみたいだって思った。そう思いながら、スマホを手に取ると、今日も通知が入っていた。
 だから、私はその通知をタップし、操作をすると、今日も理久くんに繋がった。

 
『言わなくちゃいけないことがあるんだ』
「ごめん、今、そんな気分じゃないんだけど」
『俺も、本当は申し訳ないと思うんだけど、別れることにしようと思います』
「え、なんで……」
 私は自体が飲み込めなくて、耳元から、スマホを離し、画面を見つめた。
『楽しかったけど、しょせん、画面上でのやりとりだけでしょ。俺、それに限界を感じたんだ』
「ひどいよ。一方的じゃん」
 私の気持ちを無視するの? 私は毎日、夜と朝、君の声をしっかり聞いてあげてるのに、そんなこと一方的に言うなんてひどすぎるよ。それに今、私、ものすごく疲れてるからやめてよ。こんな話。
『頑張ってると思うよ。だけど、俺はもう、責任感を持つことができないって思ったんだ。自分の気持ちに嘘をついて、このままいることはできないと思ったんだ』
「は? なんの話してるの? 意図が見えないんだけど」
『――ごめん。言うね。実は二人彼女がいて、浮気してた。自分でも最低だと思う』
「え、彼女は私だけでしょ?」
『嘘ついてまで、アイドルすることもできないし、けじめとして、一般人に戻ることにした』
 は? 三股かけておいて、一般人に戻るってどういうこと? 全く意味がわからないんだけど。私は気持ちが一気にぐちゃぐちゃしてきて、なにから口にすればいいのか急にわからなくなった。

『そもそも、彼女いる時点でダメでしょ。アイドルは。なのに、三股であること、知ってると思うけど、ファンの子にSNSでタレコミ入れられて、燃えてる。だから、ダメなものダメだし、けじめはつけなくちゃいけないと思う』
 私は慌てて、SNSを開き、理久くんの名前を検索する。すると、炎上元の投稿を見つけた。すでに3000万インプレッションを越えていた。
 
「そんな……」
『俺は多くの人に夢を与えるためにアイドルになった。だけど、俺の弱さで、俺はファンを裏切った。だから、アイドル失格だよ。じゃあね。今までありがとう。明日、事務所に謝りに行きます』
「え、ちょっと待ってよ。理久くん!」
 私がそういい終わる前に、理久くんとの会話は終わった。そのあと、部屋のなかは、真夜中の無音になった。急に無音になり、私は自分が今、息しているのかどうかすら、わからなくなった。
 唐突に終わった恋と、飲み込めない夢の挫折。もっと夢が近くなると思っていた人の夢がいきなり消えてしまった。
 そんなことは、どうでもいい。三股ってなんだよ。最低じゃん。最低、最低。
「最低!!」
 私の怒鳴り声は、きっと遠くには届かなかったと思う。だって、この部屋、防音完備の部屋だよ。真夜中に歌っても、音漏れしない最強の部屋だよ? そんな部屋のなかで、私の怒鳴り声なんて、雑魚だよ。雑魚。あーあ、私っていつもこうだ。
 小学校のときから、いじめられて、中学校で不登校になって、高校で通信制高校に通い始めて、私の人生なんて、罵られる毎日だったんだよ。だって、仕方ないよね。私って、かわいいから。かわいいから、嫉妬されるし、かわいいから、勘違いされるし、かわいいから、舐められるし。最悪だよね。
 終いには、なにもかも上手くいかなかった今日を、また、『頑張っていこう』って慰めてもらうと思っていた、彼にバッチリ裏切られてさ。最悪だよね。私になんて、価値がないんだよ。
 あー、無価値、無価値、無価値なんだよ。
 いくら、自分の思いを相手に伝えたり、相手に認められるために努力して、完璧にこなしても、どうせ、私は舐められて、誰も、私のことなんて認めてくれないんだよ。
 最悪だろ。みんな死ねよ。みんな。
 みんな、私の敵だ。終わってる、終わってる、終わってる。

「終わってるんだよ!! あー、もう!!」
 持っていたスマホを思いっきり、ベッドに叩きつけても、私の気持ちは収まらなかった。気がついたら、頬はしっかり濡れていて、頬を拭うと、ファンデが3本の指の腹でドロドロしている感触がした。






 このまま、私は一晩泣いて、その失意のまま、化粧を直し、一通りのものをリュックに入れ、家を出た。
 そして、ガラガラの電車に乗り、スマホで調べた駅を降り、10分歩き、彼の事務所が入っているビルにたどり着いた。4月上旬、6時の空気は少しだけ凛としていて、冷たかった。
 私は、左手に自撮り棒を持ち、配信を開始した。

「みんな。おはよう」
 朝にふさわしく小声でそう言った。そして、すぐに何人かが『おはよう』とか『この時間の配信めずらしい』とか、コメントをくれた。
「めずらしいでしょ。メルちゃんの超配信の時間だよ」
「え、超配信の意味がわからないって? 今にわかるよ。さて、私は今、都内某所に来ております。こんな早朝に来たのには、実は理由があるんです。それをみんなに見てほしいなって思ったんだ。アイドルらしく」
 そんなことを言っても、『ふーん』とか、『超ってなに?』とか、『で、なにしてくれるの?』とか、そんなようなコメントしか来なかった。
 そうだよね。どうせ私なんて、世間からみたらその程度の興味しか持たれない人間なんだよね。やっぱり。私って、そんなにダメな人間なのかな。私って、そんなに。
 そんなことを思いながら、適当にコメントに対して、適当なりアクションで返していた。そんな配信をしながら、彼が現れるなら、早朝だなと思っていたら、ビンゴだった。そう、私の元彼である、理久が現れた。
 理久の姿は、上下クロのジャージで、黒いキャップを被っていた。遠目から見る彼の姿は、とてもアイドルとは思えない。

「じゃあ、みんな見ててね。メルは理久くんと付き合ってました」と言い残すと、あとは自撮り棒をくるんと回し、画面側を理久の方に向けた。
 そんな私に気がついたのか、理久は、その場で立ち止まった。私はゆっくり一歩ずつ、理久に近づき、そして、理久の前にたどり着いた。

「あれ、メルちゃんだよね? 配信?」
「そうだよ。メルちゃんの超配信」
「なにそれ。超配信って」
「あのね、メルがね、理久くんとまだ付き合ってるってことを証明するための配信だよ」
「は?」
 理久は間抜けな声を出している間に、私は右手に持っていたもので理久の腹を刺した。理久を見ると、目を見開いたまま、倒れたから、私は持ったままの自撮り棒から手を離した。倒れた理久の上にまたがった。そして、理久の腹に刺さった包丁を抜いた。すると、理久の腹から血が一気に溢れた。
 理久はなにかを言おうとしたから、今度は、両手に握り直した包丁をすっと振り下ろし、理久の腹をもう一度、刺した。

 もう、配信がどうなっているかなんてわからない。
 だけど、私は理久くんのこと、殺したいくらい好きだったんだよ。
 なのに、理久くんは、私のことなんてミジンコ程度にしか思ってなかったんだ。

「最低だよね。最低。あんだけ、私のこと励ましてくれてたのに。だから、私、頑張れたのに」
「メルちゃ……。なんで……」
「私を裏切ったからだよ。大好きだったよ。さよなら、大好きな彼氏」
 そう言ったのを理久くんは聞いていたかわからない。ただ、理久くんにだけは、私の価値を認めてほしかった。







『みんなに、言わなくちゃいけないことがあるんだ。俺も、本当は申し訳ないと思うんだけど』
『みんなと別れることにしようと思います。楽しかったけど、しょせん、画面上でのやりとりだけでしょ。俺、それに限界を感じたんだ』
『みんな頑張ってると思うよ。だけど、俺はもう、責任感を持つことができないって思ったんだ。自分の気持ちに嘘をついて、このままいることはできないと思ったんだ』
『みんな――ごめん。言うね。実は二人彼女がいて、浮気してた。自分でも最低だと思う』
『嘘ついてまで、みんなの前で、アイドルすることもできないし、けじめとして、一般人に戻ることにした。そもそも、彼女いる時点でダメでしょ。アイドルは。なのに、三股であること、知ってると思うけど、ファンの子にSNSでタレコミ入れられて、燃えてる。だから、ダメなものダメだし、けじめはつけなくちゃいけないと思う。俺は多くの人に夢を与えるためにアイドルになった。だけど、俺の弱さで、俺はファンを裏切った。だから、アイドル失格だよ。じゃあね。今までありがとう。明日、事務所に謝りに行きます』
 

 この映像は、事件が起きた前日に配信された被害者男性のライブ配信の様子です。
 被害者男性は地下アイドルとして活動しており、SNS上でライブ配信も行っていました。事件が起きる前日に、被害者はSNS上で交際に関することで、問題となっていたようです。
 警察によりますと、アイドルグループ愛L!ke☆Lass所属のメルこと、新山萌香容疑者は、事件当日、自身のアカウントでライブ配信を行いながら、被害者の腹を複数回、包丁で刺したとのことです。
 
 新山萌香容疑者と、被害者男性とは、交際関係はなく、特段トラブルもなかったとのことです。
 新山萌香容疑者の供述によると、「被害者男性のライブ配信を毎日、観ていて、付き合ってると思っていた。被害者男性が複数人と交際していた事実に腹が立った。ただ私のことを好きでいてほしかった」とおおむね容疑を認めているようです。
 警察では、新山萌香容疑者の精神鑑定も視野に、捜査を進める方針です。