その際、蜂貴人は下人に下げ渡され、それ以降の行方はわかっていない。
「平穏を嫌う者か。それとも、先帝に恨みを持つ者か」
俊熙は父親である十五代皇帝の人柄を知っている。
他人を見下しており、身内以外は信じない人だった。俊熙の実母は十五代皇帝の逆鱗に触れ、第六太子がいたのにもかかわらず、冷宮送りとした。
冷宮から出ない日々から解放されたのは、なにもかも変わってしまった日のことだった。
その経験があるからこそ、先帝を恨む人が大勢いるのには理解ができた。
「どちらにしても厄介には変わりはないか」
「はい。陛下。呪いはこれで終わりではないかと思われます」
「他にも関わっている者が後宮にいると?」
俊熙は信じられないと言いたげな顔をしていた。
……どこまでも純粋に育てたのだろう。
犯人が捕まればすべてが解決すると思っている。
なにもかも疑っていない。
その考えを持ちながら皇帝の座に座るのは、あまりに危険だ。
……父上には報告せずにおこう。
俊熙の言動をすべて報告するように文が来ていたが、それに従うわけにはいかなかった。しかし、香月が報告をしなくても、香月の侍女の誰かが報告をあげることだろう。
「はい。陛下の敵は後宮だけではないかと思われます」
この会話を知っているのは、乳母であり侍女頭の雲婷だけだ。
香月は雲婷を信じるしかなかった。
「恐ろしい話だな。だが、翠蘭の死を調べ直す口実にはなるだろう」
俊熙は翠蘭の不可解な死が引っかかっていた。
自ら命を絶つ女性ではないことは俊熙も知っていたからだ。
「恐れながら、陛下。黄昭媛と対話は許されますか?」
「それは無理だ。香月の願いとはいえ、大罪人には会わせられん」
「さようでございますか」
香月は機会を失った。
このままでは真犯人は闇の中に逃げてしまう。
「なにか気になるのか?」
俊熙の問いに対し、香月は素直に頷いた。
「はい、陛下。黄昭媛を利用した相手の手かがりを掴めればと――」
香月の言葉を遮るように、昭媛宮の調査に出向いた宦官と黄藍洙たちを牢屋に連行した宦官長が走り込んできた。
「平穏を嫌う者か。それとも、先帝に恨みを持つ者か」
俊熙は父親である十五代皇帝の人柄を知っている。
他人を見下しており、身内以外は信じない人だった。俊熙の実母は十五代皇帝の逆鱗に触れ、第六太子がいたのにもかかわらず、冷宮送りとした。
冷宮から出ない日々から解放されたのは、なにもかも変わってしまった日のことだった。
その経験があるからこそ、先帝を恨む人が大勢いるのには理解ができた。
「どちらにしても厄介には変わりはないか」
「はい。陛下。呪いはこれで終わりではないかと思われます」
「他にも関わっている者が後宮にいると?」
俊熙は信じられないと言いたげな顔をしていた。
……どこまでも純粋に育てたのだろう。
犯人が捕まればすべてが解決すると思っている。
なにもかも疑っていない。
その考えを持ちながら皇帝の座に座るのは、あまりに危険だ。
……父上には報告せずにおこう。
俊熙の言動をすべて報告するように文が来ていたが、それに従うわけにはいかなかった。しかし、香月が報告をしなくても、香月の侍女の誰かが報告をあげることだろう。
「はい。陛下の敵は後宮だけではないかと思われます」
この会話を知っているのは、乳母であり侍女頭の雲婷だけだ。
香月は雲婷を信じるしかなかった。
「恐ろしい話だな。だが、翠蘭の死を調べ直す口実にはなるだろう」
俊熙は翠蘭の不可解な死が引っかかっていた。
自ら命を絶つ女性ではないことは俊熙も知っていたからだ。
「恐れながら、陛下。黄昭媛と対話は許されますか?」
「それは無理だ。香月の願いとはいえ、大罪人には会わせられん」
「さようでございますか」
香月は機会を失った。
このままでは真犯人は闇の中に逃げてしまう。
「なにか気になるのか?」
俊熙の問いに対し、香月は素直に頷いた。
「はい、陛下。黄昭媛を利用した相手の手かがりを掴めればと――」
香月の言葉を遮るように、昭媛宮の調査に出向いた宦官と黄藍洙たちを牢屋に連行した宦官長が走り込んできた。



