それから何度か彼と出会った川沿いの道を歩いてみたけれど、彼を見ることはなかった。
互いに制服姿だったけれどあの日は日曜日だったし、ただの偶然が重なっただけなのかもしれない。
「このまま永遠に会えないなんてつらすぎる」

彼と再開できないまま3日が経過していた。
今日は木曜日で、朝から全校集会があるためグラウンドに集められていた。
まだ太陽は高くないけれどもう肌を焼くようなジリジリとした暑さを感じる。

「そんなに会いたいなら彼の高校まで行って待ち伏せしてみる?」
隣に立つ希がニヤリと笑って聞いてくる。
私は少し思案したけれど、「やめとく」と、ため息を吐き出した。

どうしても再開したいとなればもうそれ以外に手はなさそうなのだけれど、顔見知りのいない高校に出向くほどの行動力はなかった。

あの日、あの瞬間に急に出てきた行動力は日に日にしぼんで行っているみたいだ。
「なぁんだ。美佳の運命の人見てみたいのに」
と、希は口を尖らせている。

そんなことを言われても、正直他校の前まで出向いても彼を見つけられる自身がなかった。
あの時の彼はずぶ濡れで、それが原因でいい男に見えただけかもしれないし。
なんてことを考えていると不意に空が曇り始めた。

さっきまで肌を焼くように熱かった日差しが急激に遮られ始める。
「ありゃりゃ、これは一雨くるかもよ」
希が空を見上げて呟いたとき、ポツポツと大粒の雨が校グランドを濡らし始めた。