雨はもうほとんどやんでいる。
伊賀さんの体はかろうじて輪郭がわかる程度になっている。
それでもまだここにいる。

里歩先輩の隣にいる。
「雅文」
里歩先輩は立ち上がると、真っ直ぐに伊賀さんの方へ体を向けた。

互いに見えていないはずなのに、伊賀さんもなにかに気がついて里歩先輩の方へ向いた。
そして同時に「大好きだよ」
その言葉は晴れ渡る空に舞い上がり、そして消えていったのだった。